2007〜2008 Foot ball Talks
2008/6/1 シーズン総括(各リーグ)

今シーズンはEURO2008が待ち受けるものの、バロンドールの行方は、ほぼC・ロナウドで間違いないだろう。
昨年のブレイクをはるかに上回る活躍。あと2〜3年もすればフットボール界の顔に・・・と思っていた速度を完全に飛び越し、ヨーロッパを席巻した。

ロナウジーニョが完全に姿を消し、カカがミランの不振に引っ張られ、対象は、リーグ、CLでダブルを果たしたマン・Uのエース、C・ロナウドで決まり。
これはEUROの結果に関係なく決まりだろう。

全体の流れで見ると、CLのベスト4に3チームを送り込んだプレミアが頭一つ抜けたシーズンとなった。
セリエA独走だったインテルはCLで自滅。リーグ優勝も最終節のギリギリで、何とか体裁を守った結果。
リーガ優勝のレアルもヨーロッパではあっさりと敗北。
2冠を戦いうる戦力を有したのは、結局プレミア勢のみだった。

チェルシーはモウリーニョを切り、さらにグラントも切った。これによる離反者も出ることだろう。
マンチーニがチェルシー、モウリーニョはインテルに行くとの噂。この監督交換は意味があるようでない気もする。
それならエリクソンかリッピを迎えたほうがマシだろう。
動くと予想されたアンチェロッティは動かず、てっきりライカールト辺りが収まると思ったが。
そうすると、パオロ・マルディーニの監督説が一層強まる。エリクソン政権のマンチーニ状態ってやつだ。

バルサはペップが就任。カンテラからの引き上げが予想されるが、ドス・サントスを完全移籍で手放したのは痛い。
ボージャン、メッシーでは重量感に欠ける。エトー、アンリが不完全だっただけに今後のマーケットに注目。

いずれにしてもEURO後に、選手、監督の移籍が予想されるだけに今年のシーズンオフは熱くなると思われる。

話を戻して、プレミア勢の躍進とセリエとリーガの衰退の原因を追究したい。
プレミアは外資の参入によるバブルに助けられ、選手層のUPだけでなく、育成の効果、それも若手というよりも
すでに名前の売れている選手が爆発するような育成が効果を発揮し、戦力を充実させた。
それがチェルシーだけでなく、マン・Uやアーセナル、リバプール、さらにはマン・Cやエバートン、トットナムにまで波及した
競争力の高いリーグを生み出したと言える。

リーガはバルサが太陽(ロナウジーニョ)を失い、地に落ちたレアルは復活への階段を上る途中。同じマドリードのアトレティコも同様。
バレンシアは内部崩壊。セビージャ、ビジャレアルは、地力が強いチームではない。
セリエのインテルは競争相手がいない状態で、ローマは善戦のイメージが否めない。ミランは4位獲得に全力を尽くし、さらに失敗。
ユベントスはようやく息を吹き返したばかり。
これではプレミアに叶うはずもない。

来シーズンはリーガ2チームの復権、セリエ勢の切磋琢磨、バイエルンの復活に期待したい。




 
UEFA CHAMPIONS LEAGUE
CL
順位 チーム
優勝     マンU
2位 チェルシー
ベスト4 バルセロナ
リバプール



UEFA CUP
EL
順位 チーム
優勝     ゼニト・サンクトペテルブルグ
2位 レンジャーズ
ベスト4 バイエルン
フィオレンティーナ

マンCのホームで行われた決勝は、ホームに近い環境のスコットランドのものにはならなかった。
チームの格としては、レンジャーズが上。
しかし、強豪バイエルンを葬ったゼニトの勢いは止まらなかった。
試合自体の攻勢では、レンジャーズに優位に進められるシーンも目立ったものの、決して守勢に回らず
攻め続けた勝利。
ロシアの雄が、UEFAカップ初優勝を飾った。

レンジャーズは過密日程の中、国内との2冠を目指したものの、もしかすると両方を逃すことになる恐れが出てきた。




LIGA ESPANOLA
LIGA
リーグ順位 チーム CL優先権
1位 レアル・マドリー CL出場
2位 ビジャレアル CL出場
3位 バルセロナ CL出場
4位 アトレティコ・マドリー CL出場
以下 ラシン・サンタンデール UEFA杯出場
カップ順位 チーム
優勝  バレンシア
2位 ヘタフェ

結果を見れば、レアルの華麗なる復活。
しかし、その実態は、バルサもレアルもお互いズルズル負けに付き合って、さらにその他のチームはその2チームに割って入れず。
リーガ全体のレベルが低かった。
バルサの太陽が沈み、レアルはファンニステルローイとカシージャスだけのチームに、ラウールとグティがちょいちょいプラスされただけ。
メッシーはロニー不要を印象付ける活躍をしたし、ボージャンはドス・サントスを抜き、カンテラからのスターに君臨した。が、バルサに至っては
それだけのシーズンだった。アンリ、エトーにも疑問符がつき始めた。以前のような悲惨な状況ではないものの、勝者のメンタリティーが欠けて
いるように思える。
アトレティコの復権と、ビジャレアルの台頭は認めるが、セビージャ、バレンシアといったビッグ2に割って入るはずのチームが低迷したのは
リーガ全体が不安定な状況だったからといえよう。
テクニックの上ではだれもが一目おくはずのリーガは、今季、盛り上がる事はなかった。




 
PREMIER LEAGUE
PREMIER
リーグ順位 チーム CL優先権
1位 マンU CL出場
2位 チェルシー CL出場
3位 アーセナル CL出場
4位 リバプール CL出場 ?
以下 エバートン UEFA杯出場
カップ順位 チーム
優勝  ポーツマス
2位 カーディフ




マン・U、チェルシー、アーセナル、リバプールが強烈な期待と共に軒並み戦力UP。
さらにはトットナムやマンC、ウェストハム、ニューカッスルといった中堅にも大物が集まり、リーグのレベルは非常に向上した。
トーレスが台頭したものの早々に優勝戦線から離脱したリバプール。CLの好調に惑わされがちだが、抜本改革は必要。
しかし、お家事情はメチャクチャらしく、来シーズンも期待できないかも・・・との噂も。
そしてマン・Cも後半戦に息切れ。エリクソンの手腕云々はもう1シーズン見てあげたい。
言い訳が許されないのはウェストハムとニューカッスル。これだけの戦力を有し、ボトムリーグに成り下がった。
しかし、マン・U、チェルシー、アーセナルは期待に違わぬ好チームに。
ハッキリ言って、確執としか思えない理由でモウリーニョが解任されるも、後任のグラントはがんばった。
バラックを復活させ、アネルカとドログバのコンビを生んだのは特筆に価する。
マン・Uは悪童たちを完全にコントロール。練習の虫に変えた。テベスやルーニーがあれほど献身的に動く姿は他のチームでは
ありえないことだろう。C・ロナウドも完全に爆発。サー・アレックスの手腕には頭が下がる。
アーセナルは主力を軒並み奪われながらも、若手でカバー。ついに力尽きるも、すばらしい逸材を育て上げた・・・・・が。
年棒の上限を定めているせいで、主力はまたしても市場へ。完全に搾取される側に立たされている。
手塩にかけた選手が、あっという間に敵として立ちはだかる。いくら温厚なベンゲルもそろそろ見切りをつけて日本にきてくれても
いいんじゃなかろーか。

いづれにしてもプレミアは他のリーグに比べ、戦力、クオリティに秀で、今シーズンのフットボール界を彩った。
EURO後の民族大移動がこの勢力図をあっという間に変える恐れは大いにある。
来シーズンも質の高いフットボールを維持するのは並大抵のことではないのだ。




 
SERIE A
SERIE
リーグ順位 チーム CL優先権
1位 インテル CL出場
2位 ローマ CL出場
3位 ユベントス CL出場
4位 フィオレンティーナ CL出場
以下 ACミラン UEFA杯出場
カップ順位 チーム
優勝  ローマ
2位 インテル




今季のセリエはユーベがCL圏内を目標。ローマは戦力不十分。ミランは勝ち点の関係で4位狙い。というインテルの独走が予想された。
そして、筋書き通りのスタートが切られ、インテルはリーグの優勝は勿論、ヨーロッパ制覇も視野に入れた戦いをしていたはずである。
そんな中、ローマが意外な好調を見せ、ユーベはデルピエロが復活。フィオレンティーナもムトゥがキレキレで、リーグ的には盛り上がるはずだった。
しかし、ミランはリーグで勝ちきれず、インテルは自滅の格好でCLから姿を消した。
解任で揉めるマンチーニだが、そもそもCL敗戦後に、チームを混乱に陥れる辞任を表明した時点でもクビは確実なのに
誰が指揮をとっても優勝できた今シーズンを最終節まで持ち越した罪は大きい。
後任にはモウリーニョとの噂があるが、怪物イブラヒモビッチとも相性は良さそうだし、フィーゴもポルトガル人監督ならどんでん返し残留もある。
ただし、アドリアーノの復活は厳しいかも。モウリーニョはドライだから。ドログバ、ランパードを連れてきたらインテルは怖い存在になる。
ミランは年齢制限を経てパトを後半戦で投入できたものの、ジラルディーノに見切りをつけるのが遅すぎる。カカを生かせるのがピッポだけとは情けない。
結局はUEFAカップに回り、多くのフットボールファンを悲しませた。アーセナルとのCLは好勝負だっただけに、残念だ。
ローマはトッティを欠いた時点でお終いかと思われたが、マンシーニやヴチニッチなどが踏ん張り、チームを支えた。唯一及第点を与えられるチームだろう。
ユーベはポテンシャルが落ちていない事を証明しつつも、優勝争いに加わるような動きは見られず。終始CL圏内キープに徹していた。
獲得が噂されるシャビアロンソなども面白いとは思うが、CLの収入が見込めるのだから、もう少しサプライズを見せて欲しい。
密かに期待したナポリは、試合自体は良い内容が多かったが、いかんせん打ち合いに持ち込みすぎる。
内容的に悪いものではなかったので来シーズンに期待。

プレミアに、すっかり脇役に追いやられた今年のセリエA。世界最強リーグを思い出し、インテルのメンタル面での強さを期待したい。




      
OTHER

ドイツはバイエルンが国内2冠を達成。
ヨーロッパでも戦えることを証明した。元々リハビリに近いシーズンでもあったので、来季、CLで真価が試されるだろう。

フランスは、リヨンが7連覇。ベンゼマなどの逸材も絶え間なく輩出し、輸出国として非常に優れたリーグと化している。
しかし、これだけ連覇が続けば、国民の心証(特にパリ、マルセイユファン)は悪くなるはず。
健全なリーグの為にもストップ・ザ・リヨンは各チームの至上命題である。

オランダはPSVが優勝。最近はイブラヒモビッチやファンニステルローイなどの逸材を輩出できておらず、フランスにお株を
奪われている感が強い。育成のエールディビジを取り戻すため、オランダには期待したい。



セルティックが奇跡の逆転優勝。レンジャーズにしてみれば2冠を逃し、悪夢のようなシーズンだろう。
インテルのイブラヒモビッチのような、独力で現状を打破できる「強い」エースが必要だったのではないか