試合前展望 |
四年前の決勝で敗れたチェルシー。
二年前の決勝で敗れたバイエルン。
現在、ヨーロッパで最強のクオリティをもったバルセロナとマドリーを、それぞれ下して決勝まで勝ち上がってきた。
(チェルシー)
チェルシーは、ビラス・ボアスをシーズン途中で解任してから、調子を取り戻した。新しいスタイルに馴染めなかった選手達は
あまりに年齢を重ねすぎていたのだろう。ランパードとドログバを冷遇したのもチームの根幹を揺るがした要因だ。
後任のディ・マッテオの実力は分からないが、下り坂のチームが最後にひと花咲かせようという姿に映る。
先週のリバプールとのFAカップに競り勝ったチェルシーは、ここ数日で言えば好調。
テリーが出られないのは、マイナスだが、モウリーニョがいなくなってからのテリーはハッキリ言って問題児。
退場や警告のファクターが減って、悪いことばかりでもない。
(バイエルン)
ライバルと同様に、ファンハールを解任し、ハインケスを招聘したバイエルン。後任監督の質はチェルシーよりも上。
なによりも、決勝の地はバイエルンのホーム。これ以上のメリットはない。
しかし、それでもバイエルンに絶対の信頼がおけないのは、ドルトムントの後塵を拝しているという国内事情。
リーグ戦もモチロン、カップ戦の決勝では香川にいいようにやられていた。ただ、CLに重きをおいて手を抜いた、考えられなくもない。
ロッベンとリベリは天才である。それゆえに、ムラッ気がありすぎて、重要でない試合では本気になりきれない。
若手とベテランがバランスよく在籍しているバイエルンは、今後も安泰そうだが、一発勝負でキッチリ勝てるだろうか。
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スターティングメンバー |
バイエルン・ミュンヘン |
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チェルシー |
(監督)
ユップ・ハインケス
(フォーメーション)
4-2-3-1
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(主審)
ペドロプ・ロエンサ
ポルトガル |
(監督)
ディ・マッテオ
(フォーメーション)
4-2-3-1
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(メンバー)
ノイアー
(C)ラーム
ティモシュチュク
ボアテング
コンテント
シュバインシュタイガー
クロース
リベリー
ロッベン
ミュラー
マリオ・ゴメス
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(メンバー)
ツェホ
A・コール
ダビド・ルイス
ケイヒル
ボジングワ
ミケル
バートランド
ランパード(C)
マタ
カルー
ドログバ
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(サブメンバー)
ブット
Vブイテン
ラフィーニャ
宇佐美
オリッチ
ペテルゼン
プラニッチ
(出場停止)バトシュトゥバー
(出場停止)グスタボ
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(サブメンバー)
ターンブル
フェレイラ
スタリッジ
マルダ
エッシェン
ロメウ
F・トーレス
R・メイレレス(出場停止)
テリー(出場停止)
イバノビッチ(出場停止)
ラミレス(出場停止) |
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出場停止がかなり多く、チェルシーは主力の4人がNG。バイエルンに比べ、苦しい展開に見える。バートランドが先発。
だが、ダビドルイスとケイヒルが帰ってきた最終ラインは体裁が保たれた。
バイエルンは、いつものメンバーに宇佐美がベンチ。出番はないだろうが、フットボールの世界で最高の舞台。これは嬉しい。
あとは天才たちが輝きを放てるかどうか。
ユニフォームは赤と青に綺麗に分かれた。スタジアムは3:1でバイエルンカラー。チェルシーはゴール裏の一角をなんとか青く染めている。
セレモニーはEURO危機の煽りか、ちょっと地味め。でもこれぐらいがフットボールとして邪魔しないレベルかも。
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2010-2011 UEFA Champions league Final |
開催日: 2012年5月19日 会場:ミュンヘン・アレナ(ドイツ・ミュンヘン) |
B・ミュンヘン
(ドイツ・ブンデスリーガ) |
1 |
0-0 |
1 |
チェルシー
(イングランド・プレミアリーグ) |
1-1 |
0 EX 0 |
0 EX 0 |
3 |
PK |
4 |
(警告)シュバインシュタイガー
(ゴール)ミュラー
IN V・ブイテン(交代)ミュラーOUT
IN オリッチ(交代)リベリーOUT
ラーム○
マリオゴメス○
ノイアー○
オリッチ×
シュバインシュタイガー×
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時間
2分
前半終了
73分
80分
83分
83分
84分
86分
88分
後半終了
92分
97分
延長前半終了
延長後半終了
試合終了
PK
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OUTバートランド(交代)マルダIN
A・コール(警告)
OUTカルー(交代)トーレスIN
ダビド・ルイス(警告)
(ゴール)ドログバ
ドログバ(警告)PK献上
×マタ
○ダビドルイス
○ランパード
○Aコール
○ドログバ |
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キックオフ |
前半開始
フォーメーションはお互いに4-2-3-1という形か。ゴメスとドログバというCFに対し、両WGを加えた動きで攻め上がるスタイル。
開始からバイエルンがボールを回す。マドリーやバルセロナのようなモンスターが相手ではないだけに、素直なサッカー。
不意に手でボールを押さえたシュバインシュタイガーにイエロー。いらないプレーだが、どちらも動きが固いか?
バイエルンはマタへのチェックが早い。どうやら、ココを潰せばボールが回らないことを知っているようだ。
リベリーとロッベンは好調の様子。さすがにモチベは高い。
当初、この二人のサイドをケアすると思われたチェルシーだったが、比較的ここは自由に持たせている。
中をしっかり塞いでいるので、跳ね返すが、おかげでバイエルンのCKの回数が増える。こぼれ球から切り崩すロッベン。
決定的なシーンを救ったのがツェホ。このGKはさすがだ。
チェルシーは守り続けて、数少ないチャンスをカウンターで攻めるイタリアっぽい戦術。ディマッテオ効果か。
しかし、ボールが持てるということは、多少チャンスが外れても気分良くプレーできるバイエルン。
審判も、比較的プレーを流すタイプなので、攻守の切り替わりもとめどなく、ゲームとしては退屈しない。
マリオ・ゴメスが決定機をふかしたり、チャンスは多いのに決められないバイエルン。これが続くと雰囲気がヤバイ。
前半終了 0-0
苦しいながらも前半を0-0で逃げ切ったチェルシーは、起死回生の策を出すのだろうか?
後半開始
後半に入っても展開は同じ。バイエルンが押して、チェルシーが引く。
何度も攻撃を跳ね返すチェルシーだが、クリアミスから大ピンチ!?ボールはゴールに突き刺さったがオフサイド。
線審にブーたれるオリッチ(バイエルンベンチ脇でアップしていた様子)
時間が経つにつれて、攻めるバイエルンも、ゴールの雰囲気がしなくなってきたことに苛立っている様子。
ラームはロッベンの後にピッタリと付いていって、ロッベンが流れたあとは自分がWGになる。
それでも青い壁は崩れない。
さんざん攻め続けて、点が取れないまま、これは延長戦かとも思われたバイエルンだったが、ついに遅攻のクロスから
ミュラーがヘッドで叩きつける。地面に跳ね返ったボールはツェホの上を抜けてゴール!
ついに、均衡が破れた。
時間帯的にはベストな時間。
チェルシ−は、最終兵器のトーレスを投入。バイエルンもミュラーに代えてV・ブイテン。一気に試合が動き出す。
交代の混乱でCKをゲットしたチェルシーは、なんとドログバが走りこんで弾丸ヘッド!
これがノイアーの手を弾き、ゴールへ!!同点劇!
先制点から同点までのあっという間の慌しい5分間。
ドログバの最後のFKが宙に舞って、90分が終了。
なんと延長戦に突入。
延長の前半が始まってすぐに、エリア内でリベリーがドリブルキープしたところにドログバの足が後ろからかかる。
これは・・・!PK!ドログバ、イエロー。
同点の立役者のミス、そしてそれなりにまずいタイミングだっただけに抗議は少なめ。
リベリーは結構痛そう。ピッチ脇で治療へ。
その間に、ロッベンはPKを蹴りこむ。・・・・が!!PK戦でマンUに敗れた過去を持つツェホが止める!
今回は予習はバッチリだったようだ。万が一PK戦になったら、PK職人のノイアーにも勝てるか。
結局、リベリーは痛めた足が思いのほか良くないようで、オリッチと交代。
これでチェルシーも活気付いてきた。ポゼッションは五分五分に。
延長前半終了 スコアは1-1のまま。
結局、最後までPK失敗が尾を引いたのか、効果的な攻撃はあるもののバイエルンは決められず。
チェルシーは、この展開も追い込み済みのような雰囲気。PKを見据えたか?
延長戦終了。スコアは1-1のまま。
PK戦がスタート。
ゴールはバイエルンサイドに決定。最後まで地の利を手にしたバイエルン。
先行はバイエルンでラームが蹴りこむ。ツェホが触れるも、振り切ったシュートはゴールへ。
後攻のチェルシーはマタ。中央のシュートをノイアーが止める!さすがPK職人。
これでバイエルンが有利な状況でスタートした。
マリオゴメスは早いシュートを右隅へ。さすがエース。
長い助走からのダビドルイスが決めて2-1。外したら終わりの雰囲気だっただけに、これは重要。
なんと次のバイエルンのキッカーはGKのノイアー。これは予習していなかったか。
ロッベンは蹴りたくないんだろうなあ。この辺り、ハートが弱い。注目のシュートは・・・緩いシュートだが決まる!
負けられないランパードも、落ち着いて強いシュートを中央へ蹴りこむ。
続くバイエルンはオリッチ。右隅へ!しかし、ツェホ!!右手一本!何度も抜かせない!
これで、お互いに1本外してタイスコアだ!
Aコールが蹴って、ゴール!!お互い、最もプレッシャーがかかる5人目のキッカーへ。
バイエルン5人目はシュバインシュタイガー。疲れているはずだが・・・読んでいるツェホ。でも届かない・・・が!ポスト!!
ここへ来て、初めて王手をかけたチェルシー。
チェルシーの5人目はドログバ。決めれば逆転勝利。
左隅に蹴り込んで・・・・・・・ゴーーーール!!
何度もバイエルンに微笑みかけた優勝が、最後に逃げていった瞬間!
チェルシーが初優勝!!
喜びを爆発させるチェルシーイレブン。歓喜の渦ができあがる。
チェルシーの選手がピッチを走り回り、サポーターに挨拶している間も、ずっとバイエルンの選手は起き上がれなかった。
テリーはユニフォーム姿に。
出場停止の選手は、ベンチに入れないが、試合が終わればピッチに入っても良いし、表彰式にあがる権利もある。
キャプテンのラームがバイエルンの選手に声をかけ、重い足取りで表彰台に上がっていく。
ハインケスはサバサバした表情。フットボールでは負けていなかった。
それは、ミュンヘン・アレナにいた全ての人々が分かっている。すこしだけ、運がなかっただけだ。
表彰台に上るチェルシーの選手達をアブラモビッチが労う。ちょっと複雑な気分かもしれないが、勝つときはこんなものだ。
実際には、モウリーニョの育てたチームが実を結んだわけだが、新しく入った選手達の貢献も大きかった。
カップを掲げるのはテリーとランパード・・・いや、みんなで上げた。優勝の立役者はドログバとツェホだった。
シーズンを支えたのはメイレレスとマタ。CLを決勝まで導いたのはラミレス。結局、みんなでカップを上げるのが正しい。
ドログバからアブラモビッチにカップが渡される。数年越しの夢が叶った瞬間だ。
最後まで懐疑的な目を向けられたディマッテオ監督だが、これで名監督の仲間入りだ。
数ある名将でも、CLを手にした監督は数えるほどしかいない。タイトルを手にすることで育つ能力もある。
決して最も強いチームではなかったチェルシーがビッグイヤーを手にしたシーズン。
選手の年齢からして、入れ替えが必要なチェルシーだが、アブラモビッチはこれで満足してしまうのか、それとも、これに
気を良くして、久々に補強に走るのか。
ディマッテオは続投なのか・・・色々と不透明な状況だが、とりあえず初優勝、おめでとう。
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総括 |
後日。
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