1料理の考え方
 これは20歳の、包丁の握り方すらままならかったコゾーが「料理ってこういうもんなのか」と
 勝手に解釈していった考え方の一つであり、誰にでも当てはまるものとは思わないけど、
 多分そんなに間違ってはいないという能がきです。

 …つっても、まあ作れるメニューの基本はパスタと炒めメシとサラダくらいなんだけど…。
 

恐らく、全く料理をしたことがない人間の最も陥りやすいワナではなかろうか。
『料理=食材を加工して作る』と思っていること。
実は、これは間違い。
一連の作業が一つのことだと思っていると、確実に失敗する。
料理は「仕込み」と「調理」の二つの工程に分けられるのである。
つまり・・・切ったりなんだりするのと、炒めたり焼いたりするのを同じ工程で考えているのはダメなのだ。

調理をする前に、仕込みは終わらせておく必要がある。
で、オーダーが入ったら、調理を開始する。
これは店のやり方だけど、家でも同じ。オーダーの部分が省略されるだけだ。

重要度の割合は「仕込み5:調理5」だと思う。
和食なんかの料理人とかは仕込みで9割決まるとか言いそうだけど、洋食屋だったオレはやっぱり
5:5だと思うんだよなー。


【割る】
割る食材と言えば卵。卵の場合、割るよりも「混ぜる」が重要なポイント。潰して混ぜる。
卵黄を作る時の目安は、ザルでこしたときに引っかかりなくスーっと流れるかどうか。
少しでもドローっと落ちればかき混ぜ不足。これは、実はフライパンで熱した時に問題になる。
卵を割って混ぜるだけでも、大変な違いがでるわけだ。

【剥く】
剥く食材は野菜全般。これは皮むき機や手を使う。剥く時は味に影響の出るポイントはあんまり
気にしたことがない。ただ、皮に付いたロス(身)が少ないようにするのと、剥き残しの無いようにする
境目をキッチリとることぐらい。

【切る】
・ジュリアン(細切り)
包丁でやるよりもスライサーを使った方が早いし確実。ここで腕を見せる意味は無い。
スライサーで刷る時はかける面を斜めに切るが、この面の大きさでジュリアンの長さが決まる。

・スライス(薄切り)
これもスライサーを使った方が早い。ただ、スライサーよりも厚めのスライスを切るときは包丁を使う。
特にポイントと思うところもないので、そんなに難しくは無いと思う。

・サイコロ(ぶつ切り)
まあ、特に難しいことはない。はじめに二つに切って平らな面を作ってぶつ切りにした方が転がらない。

・コンカッセ(粗みじん)
グリーンピースくらいのサイズに切ること。玉ねぎをコンカッセにする時は技が見せられる。
縦に二つに割って、寝かせた後、根っこの部分をやや余らせたくらいの位置まで何本か垂直にスジを入れ、
今度は水平に入れる。その後、上から切っていくと、見事にコンカッセになるわけだ。

・千切り
主に葉もの野菜で使われる。ある時から「上手くなったな」と言われるようになった。なわけで、これが正しいか
どうか分からないけど、コツは『同じところに包丁を入れるイメージでネコの手だけ数ミリずつずらしていく』と
いうやり方。ちなみに、切れない包丁だと上手くいかない。ネギが相手だと分かりやすい。
千切りはよく切れる包丁でやるか、切る前に砥石で研ぐ。今はホームセンターとかで簡単な研ぎ器が手に入る。

・アッシェ(みじん切り)
大きな野菜のアッシェはサイコロにしてしまうとやりにくい。スライスをジュリアンにして、みじんにすると早い。
棒状の野菜(ネギ関係)は縦に4つに割ったりして、細長くしてから千切り要領でみじんに。


【合わせる】
色々あるとは思うけど、洋食の合わせはソース作りがほとんど。
これはレシピに沿って素材と分量をあわせるだけ。ペーストしたりするものも多いけど、可能ならトマトソース
とかは塩加減が難しいので市販のものを使った方が無難。



【火加減】
調理をする時のポイントは、火加減。
…IHだと色々めんどくさいんだけど…熱加減というべきか。
どの熱量でフライパンに熱を入れるか。どのタイミングで具材を入れるか。
オムレツとかは特殊な例なので、その辺は置いといて、基本はフライパンに油を入れて火にかける。
で、油の泡立ちとかで火加減を見るのがベストなんだけど、そんなの達人の域。
テキトーなとこで細かい具材をぶっこんで、火加減を見る方が早い。
バターの場合は、溶け具合で判断。あまり最初の火が強いと、熱量に関係なく焦げるので、中火で。

ちなみに、誰もが憧れる「フランベ」
フライパンに酒を垂らして一気に炎があがるアレだ。誰でも料理人ぽく見えるから不思議だ。
IHだと炎が上がらないのでチャッカマンなどでわざわざ上から火を入れて代用する必要がある。
その時はモチロン強火。食材に焦げ目がついてもフランベの際に焦げ目が飛ぶ(場合が多い)のでOK。
アルコールを飛ばして香りづけするのが目的なので、香ばしい酒(安い白ワイン)が一般的か。
むやみに高い酒を投入しても揮発して、結局は香りしか残らないので無意味だと思う。
なお注意点として、でかい火が上がるので、せまいキッチンだと焦げるか火事になる可能性を考慮すべし。

【あおる】
これはフライパンの中で具材をかき混ぜること。中華料理のチャーハンとかで米が宙に舞ってるアレです。
チャーハンに限らず、パスタでも使う日常的なワザ。
上に放り上げているように見えるけど、このワザは上下運動じゃなく前後運動。
フライパンをちょっとだけ前に押して、素早く引く。その時に具材を裏返すようにすればOK。
よく「回す」と言われるけど、そんなのできるようになってから「ああ…たしかに」と気づく表現で、
まだできないヤツに「回せ」と言っても意味が無い。
これができれば、素早く、かつまんべんなく均一に火が入る上、塩や醤油などの味もいきわたるので
結構、必須な技術として習得する必要がある。

【盛り付ける】
盛り付けは、理論上は味に影響しない。だが、TVとかで「どちらが一流店の料理か」を当てる番組が
あるように、先入観というのは大事だ。高い店で食えば、脳が先入観を感知して、旨く感じるように騙して
しまう。味覚だけを頼りにメシを食っているつもりでも結局は脳に到達する時点が大事だ。
さらに言えば味覚は嗅覚のサポートを受けている。鼻が詰まっていると味が分からないのが良い例だ。
視覚も大事なポイント。食欲をそそる見た目は、味に影響するというのも分からない話ではないだろう。