1 SUMMER SONIC 03' 2003.8.2〜3 at 千葉マリンスタジアム
OPEN9:00 START10:30 
東京/大阪公演 東京公演のみ 大阪公演のみ
OUTDOOR STAGE
BLUR
THE JON SPENCER BLUES EXPLOSION
BLINK 182
NEW FOUND GLORY
CHEAP TRICK
THE HIGH-LOWS
TOKYO SKA PARADISE ORCHESTRA
THE DATSUNS
RAZORLIGHT
INDOOR STAGE
TRAVIS
PUDDLE OF MUDD
STARSAILOR
ORIGINAL LOVE
THE KILLS
KINGS OF LEON
MEW
THE GREENHORNES
SONIC STAGE
DEVO
ZEBRAHEAD
INME
MY MORNING JACKET
HOT HOT HEAT
THE STAR SPANGLES
SONIC/  FACTORY STAGE(TOKYO)
LABO STAGE(OSAKA)
KICK THE CAN CREW
AIR<from Japan>
HERMANN H.& THE PACEMAKERS
GO!GO!7188
POLYSICS
ORANGERANGE
THMLUES
東京/大阪公演 東京公演のみ 大阪公演のみ
OUTDOOR STAGE
RADIOHEAD
THE STROKES
STEREOPHONICS
GOOD CHARLOTTE
BLONDIE
THE ELEPHANT KASHIMASHI
THE LIVING END
HY
THE POLYPHONIC SPREE
INDOOR STAGE
THE DOORS
BUCK-TICK
THE MARS VOLTA
INTERPOL
MANDO DIAO
THE RAPTURE
ROONEY
SONIC STAGE
SUM 41
AFI
SUGARCULT
ALKALINE TRIO
THE ARMY OF FRESHMEN
THE ROCKET SUMMER
SONIC/  FACTORY STAGE(TOKYO)
LABO STAGE(OSAKA)
SONS OF ALL PUSSYS
DMBQ
HEESEY WITH DUDES
Jet-ki
SOUL'd OUT
YKZ
SYRUP 16G
B@BY SOUL
ASIAN KUNG-FU GENERATION

2003年8月。
セプテンバーイレブンの影響もあり、アメリカ全土はテロの脅威がつきまとう。
アーティストは戦いを批判する意欲に溢れ、アメリカがそれを拒む姿勢を見せていたため
ここ日本に、恐らく世界的に見ても、類を見ないほどのラインナップが揃うこととなった。

日本中のロックファンを驚かせたレディヘッドの文字。
そして、その前のストロークス。さらに前日のブラー、トラヴィス。

まさに誰かのipodの中身のようなラインナップ。

この年のヤフオクがどうだったかは知る由もないが、驚くなかれ、意外にもチケットは普通に買える状態で
前週あたりになってソールドアウトが発表されたのだ。

それでもフェス自体がまだバブルを迎える前だったこともあり、ソールドアウトという現象そのものが驚きを与える状況だった。

逆説的に考えれば、この年の、このサマーソニックから、フェスバブルが始まったのかも知れない。
夏といえばフェス。フェスが認知されるに十分なほど強烈なパイオニア的ラインナップだった。

8/2
今にして思えば、レーザーライトを見ておけば良かったと思うが、この時はMEWを見る為にメッセにいた。
ただし、この時のMEWのLIVEはかなり聞き応えがあり、特にギターのヤツは最高だった。
強く、静かにギターをかき鳴らすのを見て、心底感動した。

この後、マリンのスカパラとハイロウズをメッセ特設画面で見ながら、当時玄人好みのキングスオブレオンを見る。
連れは満足していたようだが、個人的には微妙な出来だったように思う。

そしてキラーズ。キャッチーな展開で、とりあえず体をあっためた。

その後のメッセも素晴らしいメンツだったのだが、どうしてもブラーが見たくて早めにマリンに向かうことに。
この頃からマリンはエリア分けがされ始め、悪名高い、サマソニスタッフのおバカ対応が始まることになる。
BLINKで前方にいけず、待ちをくらい、ジョンスペで前にもぐりこむ。

ジョンスペは人気がイマイチなのか、人はいるのに密集間はほとんどなし。
涼しげな風の中、演奏を堪能できた。
ただし、弦が切れまくるジョンスペギター。ちょっと出来としては良くなかったように思う。

そしてブラー登場。
圧倒的なおしくらまんじゅうを予想したのに、結構空いてる。最前列でも普通。いい感じ。
女子率も高い。さすがデーモン。
こうして過去に類を見ないほど、大物バンドを最高の位置で、最高の環境で見ることができた。
人は多いが、心地良い混雑感。しかも俺が「デーモン」と声をかけると普通に返事をしてくれた。ワオ。お茶目。
数百人のライブハウスのような感覚を数万人のスタジアムで味わえた。

ベストの選曲で進むLIVE。クレイジービートとソング2ではさすがにおしくらまんじゅうが始まったけど
テンダーではみんな諸手を挙げて空を見上げ、なんかキャンプファイヤーしてるみたいだった。

まったりした空間の中、念願のブラーのライヴが終る。
しかし、サマソニ03はここからが本番なのである。



8/3
朝は割とダラダラ過ごし、リヴィングエンドのライン(マリン)とラプチャーのラインで悩む(メッセ)

結果、マンドゥが見たいのでメッセに移動。ラプチャーはEDしか間に合わなかったが、マンドゥには間に合った。
しかし・・・・混んでる。なんだこの人数。このバンド、こんな人気あった?
何故かキッズもいる。大丈夫かなあ・・・・。なんと後ろでは、入場規制。おいおい・・・やばいぞ。

マンドゥ登場。大混乱。うわっ。ヤベ。キッズは潰される寸前。
その他にも、この状況を舐めていた人間がヘルプを呼びまくる状態に。
完全に救護係となる俺。危なそうな人間を黒人セキュリティに引っ張り上げてもらう手伝いをする。

それぐらいマンドゥの熱狂度は凄かった。ビッグインジャパン。
何故か、日本でのみ圧倒的な支持を受けるバンドのようだ。
メンバーはあまりの熱狂振りに気を良くしたのか、持ち曲が無いのにアンコールを何度も決行。
同じ曲を演奏していた。

マーズヴォルタも見たいのだが、ステフォ→ストロークス→レディヘを考えるともうマリンに戻らねばならない。
しかたなく、グッドシャーロット終わりでマリン前方へ。

ステフォは個人的に超楽しみにしていたのだが、1、2枚目からはほとんど演奏せずに終ってしまった為、完全に
消化不良だった。

そして・・・トリでもおかしくないストロークス参上。
マリンはこの時点で混雑マックス。ハッキリってやばい。
意味不明のゴーストバスターズのシャツをまといイズディスイット。
よくわかんねえけど、ジュリアン。
LIVE栄えするバンドだったんだなあと改めて感じる。
ジュリアンが丁度、目の前あたりにダイブしてきて、人ごみが集まり、窒息しそうだったが、なんとかストロークスを
楽しむことができた。

そして・・・運命のレディオヘッドのLIVEが始まることとなる。

待ち時間の間、人ごみはかなり疲労ピーク。そして密集度は過去に類を見ないほどパンパン。
過労死や熱中症、圧死者が出てもおかしくない。
湿気も強く、放水コールが巻き起こる。

ここで聞こえないふりのクリマンスタッフ。えーーー死○でください。
キレる客多発。
下がれしか言わないクリマンと衝突寸前。

放水しますの一声に、歓声が。
しかし・・・放水は行われませんでした。
この時の記憶は、往年のサマソニ経験者なら忘れられない状況であろう。
「スタッフが最悪」「運営がダメ」のサマソニはこの時点で烙印を押されたといってもいい。

こうして、レディオヘッドの登場時間。02の例があるので、時間通りには来ないだろうと思っていた矢先。
なんと・・・いつの間にか黒シャツのトムが眼前に立っていた。

あまりにも自然に登場したトムに、逆に面食らった格好の観衆も、「There There」のイントロで我に返る。
ものすごい圧を感じつつ、レディオヘッドスタート。恐らく右側のエリア、前から3列目くらいにいたのだが、
前にいたのは多分フランス語っぽいイントネーションだった女性。腰にビデオカメラが入っているらしく、
後ろからくる圧で俺の腰がそのカメラにゴリゴリ当たる。いでででで。
さて、曲のほうはというと、CDで聴くような不思議な感覚よりも、暖かみのある音楽に聞こえた。
LIVE独特の雰囲気なのか、トムがうれしそうに歌っていたからなのか。

トムが前になんかのインタビューで「喉を楽器のように使いたい」と言っていたが、
トムの声は全く音を外すことなく、むしろ余裕の音域で難解な曲を歌い上げていった。

このLIVEで印象的だったシーンが、脱落者の数。
ストロークスから頑張っていた女子郡が次々と担ぎ出される。
しかし、一様にレディオヘッドの楽曲を数曲でも眼前で体感できたことに喜びの表情を浮かべていた。
そして・・・俺の前にいたフランス人も、出ました。いやあ腰痛かった。
さらにラッキーが。女性ながら、結構でかかったので、セキュリティに引っこ抜かれた後にポッコリスペース。
うまくそこにハマれたわけで。うーーん。レディオヘッド、ほぼ最前列。息が吸える。

ちょうど、その時、イディオテック。この曲は聴けば聴くほどLIVE栄えする曲である。
聴いているこちらが窒息しそうになる。真夏に鳥肌が立った。

バランスよく、新作と旧作を織り交ぜ、LIVEが進む。ナイスドリームで意識を持っていかれそうになり、
ジャストで叩き起こされる。いいようにやられまくりである。

一旦、メンバーが一息入れたところで、会場がそろそろラストだという空気を感じていた。

そして、トムが少しはにかみながらマイクに手をやる。
流れ出したイントロは・・・クリープ!

会場がざわめきに似た歓喜の雄たけびを上げる。
そう、クリープである。最近では映像ですらお目にかかれない。

彼らのデビュー作であり、レディオヘッドの真骨頂とも言える楽曲。
そしてトムが「あれは別の人が作った音楽のような気がする」「もう、あまりやりたくないんだ」と、
数年間、世界のどのLIVEでも滅多に聞けなくなった、あのクリープである。

それが、心境の変化なのか、ただの気まぐれなのか、フェスだから という理由なのか
それは誰にも、もしかしたらトムにも分からなかったのかもしれない。

ただ、つむぎだされるその一つ一つの言葉。
会場の誰もが口ずさんでいた。そしてジョニーのカッティングが鳴り響き、スタジアムのライトが一斉に白く光る。
目の前は真っ白になり、熱気とも視覚効果とも、幻覚とも受け取れる湯気が巻き起こり
時間の感覚が消え、その瞬間が全て奇跡であるように思えた。
生まれて初めての感覚に、何故か、一筋の涙が流れ、この感情を表現することができなかった。

多分、この会場にいた全ての人達が、「ロックンロールの奇跡」を共有したような気がする。

これだけ圧倒的なラインナップを揃えて、それでもレディオヘッドのLIVEは別物だった。
運営側も集客の成功は見込んでいただろうが、パフォーマンスがこれだけのものになるとは想像もしなかっただろう。

間違いなく、この時のレディオヘッドのLIVEはナンバー1であり、別次元のものだった。

クリープの終了と同時に花火が上がり、紙ふぶきが舞い、今年の終了を告げたが、ほとんどの人間が放心状態だった。
しばらく立ちすくみ、みな、誰に言うわけでもなく、ただ、「すげえ」「なんだったんだコレ」「やばい」と呟きながら
スタジアムを出た。

通常であれば、LIVE終了後に、その感想を話し合うものだが、もはやその雰囲気はなく、ただ呆然と帰路に着いた。

奇跡の夜。それがこの時のサマーソニックの記憶である。