正直に言えば、ポールマッカートニー来日公演自体、行くかどうかを悩んでいたレベルの話だった。
夏フェスの後にAさんが行くというのを聞いた時点で、チケットは完売状態。
一応、最終販売も申し込んでみたものの、想いの強さが弱かったのか
抽選に外れ、オークションサイトをのぞき見ることに。
アリーナA・・・25万!? しかも落札されてる!
恐ろしい話だ。
定価が15000円~という設定に「高いよ」などと言っている場合ではない。
こうして、気持ちの整理がつかないまま時は過ぎていく。
そして、ツアーに合わせた形でポールの新作「NEW」が到着。
ビートルズの良い時を彷彿とさせる音作り。
なにより71歳のポール・マッカートニーが本気で作ったアルバムだと音の端々から感じる。
これを聞いて心が決まった。買うのだ!
オークションだろうとなんだろうとチケットを買うのだ!
会場は東京ドーム。席割も出ている。
その巨大なステージが容易に想像できるわけだ。
可能な範囲で前にいきたい・・・。こうしてギリギリの範囲で手に入れたチケットは、アリーナC。
定価の2倍程度の価格である。
チケットを手に入れて安堵したオレに届くメールが1通。
「最終のチケット抽選に外れたあなたにぴ○から最後のチャンス!」
・・・・・
遅いわ!!!
つーか、最終に外れた貴方に最後のチャンスはねえよ!!
試しに申し込んだらアリーナFが当たった。
機材の後ろなので視界は悪いが、一応アリーナである。
・・・・悩んだ末に、それはルートに流すことに・・・。
そしてポール来日の報が流れる頃、俺は福岡にいた。
仕事が早く終わって、福岡で相撲でも見るか~なんて言ってたら、
TVにはまさしくそこでポールが相撲を見ている姿。
明日は休まずに東京に帰るか~なんて言ってたら、翌日は福岡公演。
ニアミス続きである。
・・・・・・。そうだ。
福岡の予定がポールと被ってたんだから、福岡公演のチケット取って、こっちで見ればよかったんだよ・・・。
・・・・・と、まあ、そんなこんな長い前振りの末に、当日を迎えているわけである。
ドームは入口からすごい熱気。
なんとなくサッカーの試合前とかに似てる(笑)
ちなみに今回の公演はスマホやiPodなどでの写真撮影はOK。
海外のLIVEはけっこう、その辺りはOKだしね。
会場に入ると、やっぱりでけえなあ~と実感。
つーか、見えない席多くねえ?の割に通路の幅を取り過ぎだったり。
いや、まあイベントの規定上、通路幅とか決まってるんだろうけどさ―。
こうしてPSVitaをピコピコしながら緊張感ゼロでポールを待つ俺。
この時点で、俺はまだ、本当のビートルズを知らなかった。
19:15。
客電が落ちて、あっさり。あまりにもあっさり、サー・ポール登場。
細身のスラッとした英国人らしいジャケットを羽織り、
トレードマークのビートル型のへフナ―を携えてあっさり現れた。
そしていきなりのEight days aweek。
ポールマッカートニーという個人を認識する前に、
目の前にいきなり、本物のビートルズが登場したのである。
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・・・・さすがに面食らった。
この人、ビートルズの歌、似てるなあ・・・あ、本人か。
歌い方、CDとそっくりだなあ。・・・あ、本人か。
しばし、この状況である。
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Jetが流れるまで、まるでこの世にいる気がしなかった。
ジョンもジョージもいない。リンゴもいない。
それでも、この人はビートルズをこんなにも感じさせてくれる人なんだ。
これは、おかしな例えなんだけど、ノエルがオアシスを歌っている時の感覚に似ている。
(本来はノエルがオアシスを歌うのが、ポールがビートルズを歌うことに似ているわけなのだが)
JETでポール(ウイングス)を認識して、ようやく我に返った感。
ここで言うのは遅いが、ポール71歳。超、声が出ている。
調子が悪い時のリアムに言ってやりたいもんだ。ビートルズなめんなよ、と。
エピフォンのカジノを弾きながら「この曲を作ったギターだよ」と言ってPaperback Writer。
すごいなあ・・・・。
ポールの新作のNEWの曲が混ざっていても、全く違和感がない。
それに、東京ドームなのに、音響も良く(二日目だからか?)素晴らしい出来である。
正面を向いて歌うポールの顔は、たしかにセイウチっぽい。つーかアシカの方が似てるかも、
なんて思いながら、あれもこれもポールの歌なんだなあと実感。
ポールがジョンとジョージについて語りはじめると、
さっきまで目の前にポールがいることが不思議だった感覚が
何故だか、ジョンとポール、リンゴがここにいないことの方が不自然に感じるようになってきた。
ポールがビートルズを語る時は、その他大勢が語るように「ビートルズは・・・」と語らない。
「ジョンは・・・、ジョージは・・・、リンゴは・・・」と語る。
重みが全然違う。
Ob-La-Di, Ob-La-Daはフェスとかでカバーしてるのを歌うことがあっても
本人とコーラスするなんて思ってもみなかった。
まるで全てが奇跡である。
Let it beもポールの曲。VIDEO
歌おうかと思ったけど、ポールの声で聞きたかったので、歌うのをやめた。
水を補給することもなく、長めのMCや衣装チェンジに走ることもなく
約2時間、ノンストップで歌い続けるポール・マッカートニー。
マジで凄い。
Live And Let Dieでは火柱が。
若い人の中にはこの曲がポールの曲だって知らない人もいるのかも。
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その後はHey Jude。
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大合唱だよ。
ビートルズの歌にはある種、強制的なまでの共有概念がある。
ここで一旦、小休止。
が、5分くらいですぐに戻ってきた。すげえペース。
アンコールをI Saw Her There Standing Thereで締めてご挨拶。
あれれ?さすがに焦る。
なんつったってイエスタデイとヘルタースケルターを聞いてない。
ダブルアンコールがあったとしてもそれをやったうえでTheEndまで持ってくか?
しかし、その不安は杞憂に終わる。
アンコール2はキッチリYesterdayから
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そして、ヘルタースケルター!!キター!
この曲を聞くと、ビートルズの中で人格者っぽく見えるポールも、全然イカれたミュージシャンで、
ビートルズってバンドは、どんなバンドよりも狂ってるんだなあと思わされる。
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こうして感無量の所にGolden Slumbers / Carry That Weight / The Endが。
そう、この曲が流れれば、LIVEはお開きだ。
The Endの所でポールのボーカルがコーラス側に回る瞬間があるんだけど、
この瞬間、ジョン・レノンが浮かんでは消える。
これで終わり。終わりだよ。TheEnd。
凄かった。正直言って、本当にビビった。これがビートルズか。
チケットは定価なら激安と言ってもいいだろう。
ほぼ、ノンストップで2時間45分。
3万円払ったが、全く損した気はしなかった。
始まるまでは
「俺はビートルズを見た」
という感想だけのLIVEだったら嫌だな、なんて思っていたけど
これは本当に凄いステージだったと思う。
セットリストはこちら
・Eight Days A Week
・Save us
・All My Loving
・Jet
・Let Me Roll It/Foxy Lady (instrumental)
・Paperback Writer
・My Valentine
・1985
・The Long And Winding Road
・Maybe I'm Amazed
・Things We Said Today
・We Can Work It Out
・Another Day
・And I Love Her
・Blackbird
・Here Today
・NEW
・Queenie Eye
・Lady Madonna
・All Together Now
・Lovely Rita
・Everybody Out There
・Eleanor Rigby
・Being for the Benefit of Mr. Kite!
・Something
・Ob-La-Di, Ob-La-Da
・Band on the Run
・Back in the U.S.S.R.
・Let It Be
・Live And Let Die
・Hey Jude
アンコール:
・Day Tripper
・Hi, Hi, Hi
・I Saw Her There Standing There
アンコール2回目:
・Yesterday
・Helter Skelter
・Golden Slumbers / Carry That Weight / The End