Pure Audio
Stereo System
Music Systemというものはスピーカーとデッキとアンプで構成されている。
最もシンプルでクオリティの高い構成でもある。
5.1chは音楽と言うよりも、映画の臨場感を楽しむ為に生まれたものだし、iPodはこのステレオシステムをポータブルに外出先でも
楽しめるようにしたものであり、いずれも犠牲にしているのは「純粋なクオリティ」である。
数百万〜数千万のシステムが存在し、それに投資する人々がいる世界がピュアオーディオの世界である。
目の前でオーケストラが演奏しているような品質。
それが究極のオーディオの姿であり、目標でもある。
構成の前に
◆音楽は上流から
実は、ピュアオーディオの世界の上流は、機器の前に来るものがある。
それは「電気設備」であり、つまり「分電盤」「コンセント」となる。
本気のマニアは分電盤からオーディオ専用の回路を取って、アースも土の中に埋める。ただ、普通の人はそこまでできない。
その場合、最上流設備はコンセントとなる。コンセントは意外なほど雑に作られているケースが多く、材質も安価なものである。
これを、よりノイズの少ない材質に交換し、振動を抑えるもの代えると、オカルト的な意見だが、音質が向上する。
・・・ホントかよ!?と思うかもしれないが、実際に試してみると、確かに音が力強くなったのだ。
このように、ピュアオーディオは、本当に音が良くなる場合と、「実は勘違い」=プラシーボ現象との戦いでもある(笑)
いずれにしても自分の耳と脳で音が良いと感じたのなら、それが全てでも良いだろう。
構成機器
◆電源ケーブル
電源を除く、機器の最も上流の機器はコンセントとなる。
電気を通しやすく、振動を抑える皮膜で覆われていることがポイント。プラチナ、金、銀、銅など伝導性の高い材質は非常に高価な為
必然的にケーブルも高価になる。また腐食を抑えるため金メッキ加工なども施される。日本では一般的ではないが、アース付きの三又
タイプが主流であり、できればコンセントを電源タップでも良いので三又タイプのものにしておきたい。
◆デッキ
デッキは再生させる媒体で異なる。
かつてはレコードプレーヤーあり、カセットプレーヤーであり、現在ではCDプレーヤーである。
カセット、MDは衰退してしまったが、ピュアオーディオ愛好者はいまだにレコードファンも多く、CDが登場してなお、ニーズはある。
ただし、一般的には2010年現在、CDが音楽媒体の主流であり、CDデッキを元に考えていきたい。
CDは回転する円盤にレーザーで光を当て、その反射を0or1で判断し信号として認識する。
その為、どれだけ正確にレーザーを反射できるか、変換できるがが重要となる。
CDの回転を安定させるため、重りをつける。(CD上部にシールを張る)
レーザーは緑色を避けるため、CDの縁を緑色にする。
デッキを黒にすることでよりレーザーの乱反射を避ける。
など、いずれも怪しい音質向上方法が現れては消えていった。唯一、誰もが納得できる音質向上方法が、CDの回転で起こる振動を
抑えることである。振動防止版やインシュレーターなどは効果が実証されている少ない例である。
◆RCAケーブル
デッキの信号をアンプに繋げるケーブル。
主に白と赤のピンジャックケーブルが採用される。ピンの本数が多く、細かいタイプのものはXLRケーブルと呼ばれ、より音質が良いが
ちょっとしたことでノイズが混入したりと、高級機にしか採用されない上、取り扱いも難しく上級者向けである。
ケーブルの意味合いは電源ケーブルと大差ない。
◆アンプ
実は、デッキとスピーカーを直接繋いでも音は鳴る。しかし、それは聴こえるか聴こえないか程度であり、音量も調節できない。
それを劣化させること無く、むしろ豊潤な信号として増幅し、デッキとスピーカーを繋ぐものをアンプと呼ぶ。
アンプはとにかく電気を必要とする。電気信号を増幅するのだから当然だ。
つまり、どれだけノイズの少ない電気を発生させられるかが重要となる。
オーディオアンプの電源ケーブルは、ほぼ例外なく交換できる。つまり、VerUPを想定しているのだ。
また、アンプはただの信号増幅器に留まらず、システムの心臓部として、音楽の方向性を決める機器とされている。
◆スピーカーケーブル
スピーカーケーブルは全てのケーブルの中で、最も変化が大きい。
それは、スピーカーと言う最終端末装置に繋がっているからだ。ケーブルは二股のケーブルと四股のケーブルに分けられる。
マニアックな話をすると「バイワイヤリング」と言う、スピーカー1本の中で高域と低域を切り分けられるスピーカーを採用した場合に
四股のケーブルが上下に2本ずつ分かれて接続され、キレイに鳴らしわけてくれるというやつだ。
こうしたスピーカーのタイプで使い分けすることになるが、どちらでも応用は可能なので、買うときは気にしなくても良い。
アンプとスピーカーのサイズ(容量)によって太さを代えた方が良いが、基本的に太くすることで豊かな音が鳴る。
アンプとスピーカーを繋ぐ際に、劣化を防ぎ接続をムラなくするためバナナプラグと言うプラグを採用するケースが多いが、
実はプラグをかませない方が音質は良かったりする。ただし、経年劣化で黒く変色するので、カットする必要がある。
短い方が伝導性が良いが、とにかく重要なのが長さを揃えること。スピーカーの位置が違ってもケーブルは均一に、が基本。
◆スピーカー
システムの最終端末がスピーカーである。電気信号を振動に代え、太鼓を鳴らす。
全ての装置の中でも音楽の7〜8割はスピーカーで全てが決まると言っても過言ではない。お金をかけるなら、まずスピーカーである。
一般にトールボーイ型と呼ばれる背の高いスピーカーと、ブックシェルフ型と呼ばれる最もよく見かけるタイプに大別される。
スピーカーは耳の高さの位置にセットするのがベスト。その為、トールボーイの方が便利かと思われるが、状況に合わせてスタンドを
設置できたり外したりできるブックシェルフ型のほうが扱いやすい。トールボーイは部屋の配置に囚われないお金持ち用か。
また、サランネットと呼ばれるスポンジ素材のカバー。これは9割方はずすことができる。で、外してしまった方が音は良い。
サランネットの目的は、ほぼ例外なくスピーカーの保護だからだ。なにかのひょうしに傷つけてしまうことを防ぐ為にだけ付いている。
聞く時だけ外すというのが、本来の使い方らしいが、面倒であれば自己責任で外したままでもよい。
スピーカーは、ギターなんかと同じで、新しければ良いという物でもなく、現在では保護指定にされている、良質な木を使っているものも
ある。家電よりも楽器に近いので、掘り出し物を探すのも楽しい。裏技的な都市伝説では「重いほど良い」とも。
・・・と、まあ、PureAudioに必要な最低限の構成と、その役割を書いてみたが、
ここで、オーディオ中級者になるための
「良い音を楽しむためのポイント」を書いてみたい。
結構、簡単にできることもあるので、是非、試していただければと思う。
@機材は下流から。ケーブルは上流から。
お金をかけて機材を揃えるなら、なんといっても耳に近い場所から。スピーカー→アンプ→プレーヤーと替えていった方が
比較的、効果が大きく、満足できると思う。
逆に、ケーブルは根元に近い所から変えていかないと、ノイズの量が減らないのでツライ。
でも、ケーブルは機材に比べ、お金に見合う効果は得られにくい・・・。
Aコンセントは正しく挿そう
知ってる人が意外と少ない、コンセントの常識。コンセントって、左右があるの知ってた?
壁の差し込み口を見ると、どっちかにNとか、マークがあるのではないだろうか。
オーディオの電源ケーブルは、黒いケーブルに白いラインが引いてあるのがほとんど。
色は違っても、どっちかにラインか、マークがあるはずなので、そっちを差し込み口に合わせる。
逆さまでも、問題なく電気は通るんだけど、よりクリアに電気を通す為には、正しく挿すのが常識なのだ。
Bスピーカーの高さは耳の高さ
ブックシェルフ型を使うと、台を使わない限り不可能。
トールボーイは、直置きで耳の高さに近くなるように設定されている。
C左右のケーブルは均等な長さに(短いほど良い)
スピーカーの位置は、実は左右均等でなくても、アンプでバランスが取れるので構わない。
しかし、ケーブルは絶対に均等な長さにすること。片方がたるもうとも、長さが変わると電気の流れる速度が変わり
不自然な音の聞こえ方になってしまう。そして、均等であれば、短いほど抵抗が少ないので、キレイに聞こえるのである。
Dデッキは重ねない
インテリア雑誌なんかを見ると、アンプの上にデッキが重ねて置いてあるのが見受けられる。
オーディオ雑誌やHPでも、そうやって置いてあるように見えるが・・・よく見ると、オーディオラックで仕切られているはず。
デッキを重ねると、お互いの振動が伝わりあい、音がびびるのである。
また、放熱も良くないので、可能であれば横並びに置くのがベスト。しかし、スペースに無駄ができるので、できれば
ラックで仕切るかインシュレーターでびびりを抑えたい。
Eスピーカーの後ろは、壁からスペースをあける
スピーカーを壁にピッタリつけていると、スピーカー背面の穴から放出されるはずの音がキレイに排出されず、前面の音にも
影響する。モノによって指定はあるが、基本はできるだけ、壁から離したほうが、良い。
F他の家電の電源を切る
TVを見ながら「良い音を聞こう」という人は少ないと思うが、エアコンや電子レンジ、PCなどの電源も落とした方が
部屋の中の電気のノイズが減るばかりか、空気の振動も減るので、キレイな音が耳に届くという単純な理屈だ。
まあ、音に集中できる環境を作ると言う点でも利点は多い。
G面より点で支える
スピーカーやデッキはそのまま設置するよりも、3点か4点で足を着けておいてやった方が良い。
ベストはインシュレーターで支えてやることだが、コルクやゴム板を切って足代わりにしてやっても効果がある。
10円玉を重ねて、その上にスピーカーを置くという技は、昔からある手法だ。
H部屋を暗くする
これはプラシーボの意味もある(笑)。まあ、5感のうちの聴覚を簡単に研ぎ澄ますには、視覚を不要にすること。
味を確認するとき、匂いを確認するとき、集中するには目を閉じるでしょ。ていうレベルの話です。
Headphone System
PureAudioの大きな問題点は、大きく二つある。
一つは高価なこと。そして、もう一つは大きなスペースと音量が許される環境が不可欠であること。
日本という国の住環境からして、これは大きな壁である。
しかし、この問題点を一気に解決する方法が一つだけある。
それは・・・「ヘッドホン」だ。
基本的な仕組みはピュアオーディオのそれであるが、最終端末のスピーカーは、小型ながら耳に直接装着するタイプ。
おまけに、100万円相当の音質が10分の1程度で手に入るのである。
多少、イヤホンと重複する部分はあるが、ここからは、ここ数年のブームになりつつあるヘッドホンを紹介していきたい。
ヘッドホン
ヘッドホンは大きく分けて、密閉型とオープンイヤー型に大別される。
密閉型とは、耳当ての部分がキチンと塞がれていて、音漏れがしにくいタイプで、音の反響なども楽しめる。
オープンイヤーとは、耳当ての部分がメッシュ加工等になっており、音がそのまま外に漏れる。その分、抜けが良い。
個人的には、オープンイヤーを一度試していただければ、密閉型には戻れなくなるだろう。
それぐらい、聴き疲れがなく、抜けが良いことのメリットに魅了されることだろうと思う。
オーディオのアンプがないとボリュームが出ないもの(能率が悪い)ものも多く、なんせ音漏れというレベルではないので
ポータブルで使うことは全くお勧めできないのが難点だ。
●オープンイヤー型
ープンイヤー
Sennheiser HD800
ゼンハイザーの最上位機種。
ぶっとぶくらい繊細かつダイナミック。
あらゆるヘッドホンを凌駕するとも。
もう少し値下がりすれば・・・。
Sennhiser HD650
HD800が現れるまで、最強の名を
預かっていた名機。我が家の主力。
一昔前に比べ、半値くらいに。
素晴らしいことです。
AKG K702
K701と同型。我が家の主力2。
ゼンとAKGがヘッドホンの2大メーカーと
言ってもいいぐらいメジャー。
最近は他にも色々出てきたけど
おかげで安くなった。
Beyer Dynamic T1
ベイヤーって言うかTEACです。
業務機の大手がハイエンドヘッドホンを
出してきたが、さすがの出来栄え。
STAX SR-009
スタックスは特殊なヘッドホン。
静電型という構造なので、電気振動を
抑える仕組みが組み込まれており
お値段に反映される。
その効果は、お値段同様高い。
GRADO RS1
非の打ち所の無い音質。
インテリ志向の人に愛用者が多い。
取り扱いに気を使う必要があるが
家電と言うより楽器である。
●密閉型
ULTRASONE edition8
通称ゾネホン。
彗星のように現れ、密閉型最強に。
音はもちろん、なんせカッコイイ。
今、最も欲しいヘッドホン。
SONY MDR-CD900ST
国内のスタジオで最も多く使われている。
癖が無く、素材の確認に最適。
ロングセラーのモニターホン。
audio-techinica ATH-W5000
国内ヘッドホンは密閉型が主流。
そんな中でも、別次元の名機。
世界と十分に戦える機種です。
上記のヘッドホンを勧めると、「たけーよ」と言われることが多いのだが、スピーカーと考えればどうだろう。
そんなに高い感じしないのでわ?ヘッドホンはスピーカーなのだ。
しかも、2万円を越えたあたりから、劇的に音質が向上する。
5000円レベルのヘッドホンを色々試すより、2万くらいのを一個買うべきである。世界が変わる。
しかも、ヘッドホンは音の拡大鏡とも言われ、ピュアオーディオの改善した箇所などが、スピーカーより如実に現れる。
良いデッキや、アンプ、ケーブルに変えれば、その違いをハッキリ教えてくれるのだ。
最近はイヤホンブームで、イヤホンがヘッドホンの能力に近づいていると言われるが、基本的な基のシステムが
ピュアオーディオとiPodでは、その差が逆転することは、今後もありえないだろう。
さらに、イヤホンメーカーの多くは、ヘッドホンメーカーなので、そのノウハウがヘッドホンにも活かされる。
今、オーディオ業界を引っ張っているのは、イヤホン&ヘッドホン市場なのだ。