2010 FIFA WORLD CUP
1
/
2
/
3
/ 4
Best 4
Best 4
準決勝
フランス
ウルグアイ
2-3
ブラジル
オランダ
アルゼンチン
ドイツ
0-1
スペイン
※ベスト8までは好調に予想通りだった「南高西低」の
南アフリカW杯。
しかし、結局は欧州勢が3チーム。
ブラジル、アルゼンチンは自滅に近かった。
7/6(火)ウルグアイvsオランダ
下馬評では完全にオランダ有利。ロデイロもスアレスも出場することが出来ない。加えてオランダはブラジル戦から調子を
取り戻してきた感がある。「美しく勝つ」よりもリアリストに徹したオランダ。それが殻を破る起爆剤になるのか。
1974、78年以来のファイナルの座を掛けてオランイェが古豪ウルグアイを迎え撃つ。
開始直後から、オランダが「らしい」攻めを見せる。今大会、一番の入り方。ウルグアイ代表、ラツィオの正GKムスレラが
ボールを押さえる。24歳。コイツいいGKだなあ。そんなムスレラに悲劇が起きたのは18分。オランダのパス回しから、左に
張っていたVブロンクホルストがロングシュート。斜めにピッチを突っ切る。ゴールの角に当たってネットを揺らす。ミラクル。
あのタイミングのあのコースを取れるGKはいない。華麗に先制。0-1。ブラジルに勝って以前のオランダを取り戻したか。
ただ、守備が安定しているかというと、それほどでもない。ウルグアイがガツガツしてくると、時折危ないシーンも。
不安は的中。オランダの圧倒的優性を吹き飛ばすフォルランのミドルシュート。ゴールに突き刺さる。同点。1-1。
今年はフォルランが絶好調。オランダはフォルランのマークをルーズにするべきではなかった。
その後は前半、ウルグアイにペースを握り返され終了。
後半、ペースを取り戻すためにVデルファールトを入れたオランダ。早々にチャンスを作る。
しかし、ウルグアイも持ち前のいやらしさ全開。GKが飛び出した無人のゴールへの放り込み。必死で戻ったキャプテン
Vブロンクホルストがカバー。1点モノのカバーリングだった。
オランダも見せ場を作る。ロッベンの高速切り替えしに体がついていかず、ウルグアイDF足がもつれる。必死で二人目が
カバーに入る。うーん、こういうの見せられると決勝はオランダが行った方が盛り上がるかな・・・。
ウルグアイのFK。フォルランにとっては射程距離。DFの壁を越えて放たれるが、警戒MAXだったので防がれる。
オランダはカウンターからVデルファールトのシュートは堅守に阻まれる。しかし、さらに攻めるオランダ。
スナイデルのシュートはウルグアイDFに当たってコースを変え、ファンペルシーがブラインドになってゴールへ。1-2。
ファンペルシーのオフサイドが疑わしいが、際どいタイミングと、ファンペルシーは触っていなかったこともあり、お咎めなし。
その動揺が収まらぬ中、サイドからの早いクロスにロッベンのヘッド。瞬く間に3点目が突き刺さる。
最高の形で追加点を得たオランダ。一気にオランダ勝ちぬけの空気になった。
Vデルファールトが入って、オランダは前線のプレッシャーが分散された。采配的中といったところだろう。
一矢報いたいウルグアイだが、オランダを乗せてしまったツケは大きい。オランダのチャンスが続く。
時間も刻一刻となくなり、残るは2分。
ロッベンが笑顔でエリアと交替。バイエルンで下げられたときに怒っていたのとは対照的。
換わって入ったエリアも見せ場をつくるが、フィニッシュで押し込めない。決勝ではこの辺を改善しておきたい。
ロスタイム。ここでも改善点が。ウルグアイのFKから低い弾道のシュート。これがゴールになってしまう。2-3。
ミラクルを起こしているチームだけに一気に緊張が走る。ウルグアイの最後の抵抗が続く。長いロスタイム。
ウルグアイからボールが奪えず、肝を冷やすオランダ。最後の最後まで目が離せない。
だが、奇跡は起こらず試合終了。最後は逃げ切ったという感じ。危なかった。
南米の最後の雄が敗れ、決勝は不調と言われた欧州対決に決定。
しかし、ウルグアイは本当に良いチームだった。
フォルランは期待に応えるし、準決勝に出場できなった選手がいれば結果はもしかしたら違ったかもしれない。
しかしスポーツに「たられば」はご法度。これがフットボール。
3位決定戦、決勝ともに面白くなることは必至だ。
結果は大勢通りだったが、内容はそうではなかったこの試合。本当に良い試合だった。
7/7(水)ドイツvスペイン
EURO2008。ハッキリ言って、あの大会の決勝でドイツが勝っていたのは「勝者の歴史」だけだった。
走・攻・守 全てにおいてスペインが勝っていたのである。その上で決勝での敗北は必然でもあった。
あれから2年。スペインはそれまで欠けていた「勝者の歴史」を手に入れた。しかし、ドイツも実力を手に入れた。
EURO2000での敗北から10年。多くの大会で、「勝者の歴史」のみで実力に不釣合いな結果を残してきたドイツ。
しかし、オレの足に巻かれたドイツのミサンガが10年近く切れていないように、優勝はゼロ。もう、いいんじゃないか?
優勝候補筆頭のスペインは確かに難しい相手。だが、足元に固執するきらいがある。
逆にドイツのDF陣は足元が不安。だが、安定感は抜群。そして攻撃力も抜群。美しい戦いを期待したい。
試合開始。ドイツはミュラーの不在がどう響くか。
予想通り足元のパス回しが多いスペイン。ダーバンのピッチはあまり状態がよくない・・・・え。出た。乱入者。
ホントに冷めるこういうバカ。ブブゼラ持ってる。社会的に抹殺しよう。
仕切りなおし。なんか慎重だなあ。と思った瞬間。縦パス1本。ビジャが走りこむ。ここはノイアーの飛び出しが成功。
スペインは攻防一体の陣形。ドイツ相手にうまく機能している。走らされるドイツ。少しハードにいくが笛はない。
今日の主審はそんなに笛は吹かないかも。
前半13分。クロスを上げるイニエスタ。珍しく空中戦。そこにはプジョルの頭が!ボールはゴールのはるか上だったが
タイミングはバッチリだった。ペース的にはスペインのペースかもしれない。
試合は緊張状態を保ったまま、30分を回って、ドイツがペースを握り始める。ゴール前に人を集めて放り込み。
ちょっと前のプレミア的な戦い方だが、キレが良い。カシージャスが忙しくなってきた。
だが、一旦ボールを落ち着かせれば、スペインがゴールを伺う。ドイツは相手陣内だけでなく自陣でもゴール前に人を
集める。スキマがない。前半終了間際、ドイツのカウンター。エジルが抜けだしSラモスが押さえに入る。
ちょっともつれて転倒。PKは・・・・ない。まあ、吹かない審判だけに今のじゃ無理か。吹く人なら吹いたかも。
すげえテンションを保ったまま前半は終了した。
後半、スペインはミドルシュートを撃たせる手法をとってきた。果たして膠着を打開できるのか。
57分。スペインが綺麗に組み立てて、またもやグランダーのミドル。ノイアーが見事に弾く。しかし、さらにこぼれ球を
組み立てるスペイン。触ればゴールのパスに惜しくも追いつけなかったビジャ。得点の匂いがしてきたぞ。
スペインはその後もドイツゴールを攻め立てるが、高い壁とノイアーに阻まれる。Sラモスが倒されるがPKは無い。前半
取らなかったのだから、ここもないだろう。
ドイツは数少ないチャンをゴールに結び付けようと必死。ふわっとしたクロスにフリーのラームがシュートを放つ。こちらも
GKカシージャスの好セーブで阻まれる。
そして、ついに均衡が破れた。意外なことに先制はCKから。エリア外から猛烈に走りこんできたのはスペインキャプテン
カルロス・プジョール。誰よりも高くジャンプし、ドイツの壁を突き破った。74分。0-1。
ドイツは前がかりになる。それしかないからだ。確かにゴール前へ運ぶ回数とプレッシャーは増したが、見事にスペインの
カウンターがハマりまくる。80分、ゴメス投入。スペインも動く。ビジャに代えて・・・トーレス?!
決勝を前にエース復活をさせとこうってこと?ちょっと疑問な選手交替。
ここで、またもやスペインのカウンター。これは完璧。しかし、ペドロがフリーのトーレスに出さず、潰される。怒るエース。
残りは5分。ドイツが何度か相手エリア内で倒れるがファウルは無し。今日の審判じゃ無理だろ。
時間を使い始めたスペイン。キープされたらまずい。激しくいくドイツだが、足技では敵わない。
放り込みに対してもプジョルがカバー。なんて頼れるキャプテンなんだ。
そして試合終了の笛。スペイン決勝進出。
これでオランダ、スペインどちらが勝つにしても初めての優勝となる。
Final
Final
3位決定戦 & 決勝
フランス
ウルグアイ
2-3
スペイン
ドイツ
ブラジル
○ー×
アルゼンチン
※上記は大会前に立てた勝ち上がり予想です。
7/10(土) ウルグアイvsドイツ
美しき敗者、ウルグアイとドイツ。南米と欧州を代表する古豪の対決。1960年だったら黄金カードだ。
ドイツの占いタコはドイツに軍配と予想。
ウルグアイはスアレスとロデイロが戻ってくるし、ドイツもミュラーが戻ってくる。万全の状態の上、クローゼには
通産得点の記録がかかっている。オープンな打ち合いになれば、相当良い試合になる。
スカパーの特権で、今夜もLIVE観戦である。
さて、スタメンが発表されて、まず触れなければいけないのがドイツ側。
ラームが風邪でダウン。クローゼは背中に違和感を覚えてベンチ。準決勝で燃え尽きた感もあるドイツ。残念。
逆にウルグアイは万全の状況。
会場はかなりの雨が降っている。
試合開始から攻守が入れ替わるが、どっちかというとドイツは空回り気味。
開始5分、いい位置でハンドをの判定を得たウルグアイ。どうやら審判はミスをしないように、やたら副審の確認を
取っている。フォルランのキックはわずかに浮いて外れていった。
今度はドイツのチャンス。エジルのCKにフリードリヒのヘッド。クロスバーを叩く。やっぱ高さはあるよなあ。
ドイツの守備は、人に対してはいかないものの、スペースは埋めている。ウルグアイは結構人にプレスにいく。
どっちが良いというわけではないが、マークを外されると一気にピンチに陥るのは人へのDF。
20分。シュバイニーのミドルをウルグアイGKムスレラが前方に弾いてしまう。No1ルーキー、ミュラーが走りこむ。
なんだ、この嗅覚。弾かれたボールを流し込んで、ドイツ先制。やっぱり、ミュラーがいるとドイツにキレが出る。
0-1。早い時間に点が入ったということでも評価できる。
ウルグアイの逆襲。高さでは勝てないので足元へのボールが増える。ちょっと難しい選択肢が多くて奪われる。
カウンターのドイツ。そう、これがベスト8までのドイツ。エジルからドンピシャのクロスはオフサイド。惜しい。
このままいくと、ドイツが空気を作るかな、と思った矢先、強引に奪った所にスアレス、カバーニ、フォルランが
一気に走りこむ。カウンター返し。スアレスの絶妙なスルーをカバーニが左隅に決める。1-1。同点。
面白い。ちょっと雑だけど、期待通りの展開になってきた。
文字通り、そこに水を差しているのが降りしきる強い雨と、ぬかるんだピッチ。これだけは残念だなあ。
前半はポジティブなフットボールが堪能できた。後半も期待できそうだ。
後半、少し雨足も弱まった。
ウルグアイの鋭い突破に、際どいタイミングで飛び出したノイアーの代役、ベテランGKブットが身を挺して止めた。
ドイツのGKはエンケの死やヒルデブラントの伸び悩みがあっても、なお充実している。
しかし、ウルグアイの攻勢がブットを襲う。右サイドからのクロス。胸の高さのボールにも関わらず、フォルランが
選んだのはダイレクトボレー。ワンバウンドしてゴールに突き刺さる。スーパーゴール。2-1。逆転である。
3位決定戦は面白い。誰もが予想はしていたが、それが現実になるのは55分。高く、早いドイツのクロス。
GKムスレラと競り合ったのは、ドイツのヤンゼン。タイミングがドンピシャだったのはヤンゼンの方。見事なヘッドで
2-2。今度はドイツが追いついた。
ドイツはさらにエリア内にエジルが進入し、GKのタイミングをずらすが、ちょっと手数が多かった。
今度はウルグアイのスアレスが絶妙のミドルシュート。ブットがなんとかセーブするが、会場はどよめき。
もしかすると、今大会のベストゲームになるかもしれない。
70分を過ぎて、また雨が強くなってきた。
ミュラーが倒されて、腕を負傷した模様。だが、シュバイニーのパスに腕を押さえながらリターン。チャンス到来。
ウルグアイ、体を投げ出したスライディングで守りきる。守備でも見せてくるシーンが増えた。統率も取れている。
だが、守備の統率が目立つということは攻められている証拠でもある。
ドイツのCK。スピードのある低めのボールに雨も影響して、混戦の中でルーズボールになる。
その瞬間にいたのは・・・・・ドイツのケディナ。頭を突き出すと、ボールはゴールに吸い込まれていった。
2-3!ドイツ再逆転!
残り時間も少なく、攻勢を強めるウルグアイにドイツのカウンター。だがドイツ9番キースリンクの出来がイマイチ。
ロスタイムになって、ようやく時間を使い始めるドイツ。
ウルグアイは、少なくなったチャンスを確実に生かそうとフォルランを中心に攻撃を組み立てる。
ラストプレイはドイツのエリアのわずか外。ウルグアイののFK。最高の場所だ。同点の望みをかけたFK。
蹴ったのは・・・フォルラン!
放たれたシュートは凄まじい速度でゴールバーを叩く。悲鳴。歓声。そしてホイッスル。
鳴り止まない拍手。
ウルグアイは今日も「美しき敗者」になってしまったが、本当にいい試合だった。
このまま・・・このまま、上手く成長を続けてくれれば、ドイツは再び世界を獲れるチームに戻れそうだ。
7/11(日) オランダvsスペイン
●試合前展望
1ヶ月に及んだW杯もついに決勝戦。失礼な話かも知れないが、この2チームの勝ちあがりは全く予想外だった。
まず、オランダは総合力で万全とは言えないし、なによりムラがありすぎる。
スペインは実力は申し分ないが、下馬評が高すぎて31チームが標的にしてくるという部分。
そして、欧州勢はハードな南アの地で、タフな南米勢にやられるだろうということ。これが大会前の予想である。
しかし、オランダは美しさを捨ててまで安定感を優先した。
スペインは予想通りの失態を演じながらも、EUROで得た自信を基に耐えしのいだ。
さらに言えば、ハードな南アの地で脆さを発揮したのは欧州だけではなく南米もだった。南米は自滅したのだ。
では、オランダとスペインの関係性をみてみよう。
W杯では全く対戦がない。それはお互いのふがいなさが語る所であり、W杯に関しては特にスペインがそうだった。
しかし、クラブチームに限れば、これほど深い関係の国はない。
スペイン代表に8人を送り込むバルセロナはスペインの中のオランダである。クライフの「美しく勝つ」というオランダの
メンタリティを礎に、アヤックス流のシステムが組み込まれ、常に三角形を保ってボールをキープする。
一昨季はレアルマドリーも大量にアヤックスイズムを取り入れようと、オランダ人を大量に採用していたが、結果が
伴わず、スナイデル、フンテラール、ファンニステルローイ、ロッベンが放出。唯一残ったファンデルハールトもベンチ。
こうやって見てしまうと、元レアルvs現バルサという縮図にも見えなくないが、お互いの根底にあるフットボール感は
かなり近いものがあると言って良いだろう。
W杯の、今回の歩みを見る限り、ブラジル戦以外は大きな山がなかったオランダと、ポルトガル、ドイツと二つ山が
あったスペイン。ドイツはイングランド、アルゼンチンときてスペインを越えられなった。疲労度はスペインが上か。
しかし、決勝は別物。両国とも初優勝がかかるだけに、万全の状態を保ってくるだろう。
非常に小さな国土のオランダは、人口も東京都レベル。しかし、歴史的には決勝の経験もあり、国民的としては
いよいよ、という所だろう。一説にはオランダ人がハシャギ過ぎてジャンプすると国土が沈むとの噂も・・・。
スペインは、これまで代表チームへの関心の低さから、W杯での戦跡は芳しくなかった。小国の集合体である歴史、
中央集権と独裁というマドリードだけがスペインで、カタルーニャ、セビリヤ、バスク、ガリシア、バレンシア・・・・他の
地域はクラブだけがフットボールの全てだった。しかし、EURO2008の少し前から状況が変わってきた。
代表にバルサの面々が重用されまくったという背景もあるが、国としての団結が強くなってきたのだ。
そしてEUROでは結果が出た。
決勝ゆえに、慎重な戦いになるかもしれないが、昨日の3決戦のような戦いは、本来オランダとスペインの代名詞。
あちらの試合に負けないような戦いを期待したい。
◆試合開始
ヨハネスブルグ。閉会のセレモニーではマンデラ元大統領もお目見え。日本の国旗も並ぶ。
ここがアフリカとは思えないほどの映像技術。LED AQUOSに買い換えた甲斐があるってもんだ。
カンナバーロからワールドカップの返還。どこか寂しげなカンナバーロ。イタリアはこれから大変だぞ。
会場は、ややオレンジ色が目立つ。やっぱり、まだオランダの方が国家としてまとまっている。
西村さんも第4審判として参加。主審のハワードはイングランド人だがCL決勝も吹いた審判。頭ツルツル。
コッリーナもそうだったけど、頭ツルツルは名審判の証だろうか。
決勝のボールは金色をあしらった”ジャブラニ”ならぬ”ジョブラニ”。特別製らしい。多分、違いは色だけ。
スタメンは予想通り。トーレスはベンチ。ペドロが入る。オランダもファンデルハールトはベンチスタートだ。
スタジアムは高地のサッカーシティ。天気は晴れ。ピッチには水が撒かれている。
ワイドに展開するオランダに対し、選手間をコンパクトに保つスペイン。序盤から激しい当たり。早めの笛で判定の
ラインを引いたハワード主審。被害者は今のところスペイン勢ばかり
開始4分。いきなりSラモスのヘッドがステケレンブルフを襲う。なんとか飛びついて、セーブ。
どうやらクローズな戦略はない。スペインは攻める気マンマンだ。
開始から15分。ここまではスペインのペース。Sラモスのオーバーラップも効いている。
オランダはボールが奪えず、激しい当たり。イエローで場を沈める。ちょっとムカついたプジョルがロッベンを倒す。
これもイエロー。退場が出るとつまんないから我慢してほしい。スナイデルのFKはカシージャスがキャッチ。
25分を回って、多分、両者イエローが5〜6枚出てる。初顔合わせとは思えないほど、勝手知ったるメンバー同士。
しかし、交錯するのは敵だけではない。カシージャスとプジョルが接触して、胸を押さえるプジョル。ボールを外へ。
スローインからスペインにボールを返すオランダ。しかし、思ったより勢いのあるボールにカシージャスが取りそこね、
あわやのシーンに。おいおい名手、カンベンしてくれ。仕方なくオランダはCKからカシージャスに返す。
37分。オランダは、今度は正式なCK。トリッキーなパスからフリーのマタイセン!空振り!惜しい!
前半もかなり時間が過ぎて、オランダのパスカットが増えてきた。ドイツが止めることが出来なかったパス回し。
このパス回しは元々オランダのもの。ある程度の予測はできる。フィニッシュに関しては制度がイマイチ。
しかし、戦前の予想のように、スペインが華麗に回して勝つ、ということはないようだ。
決勝戦らしい緊張感の中、スコアレスで前半が終了。どっちが勝つか、まだまだ分からない。
後半になってもオランダは激しいチェック。スペインは決め手に欠ける。
ここで、痺れを切らしたか。トーレスがアップ開始。ここで出すのか?
オランダは少ないチャンスながら、カウンターから惜しいシーン。
初の交替はペドロとヘスス・ナバスだった。トーレスはおあづけ。
60分。ルーズボールからスナイデル・・・ラインを見つけた!走りこむロッベンにスルーパス。フリーだ!
走りこんでシュート!しかしサン・イケル!聖なるカシ−ジャスが足に当ててセーブ。決定的なシーンだった。
69分。今度はスペイン。右からのグラウンダーのクロスに処理をミスったオランダ。ビジャの目の前にボールが!
迷わず蹴りこむビジャだが、GKにあたってボールは空へ。誰もが1点モノだと思ったシーンだった。
オランダはカイトに変えてエリアを投入。攻撃する形にシフトしたか。
80分。スペインのDFラインへのボールに追っかけっこで抜き去ったロッベン。しかしカシージャスが体で止める。
ファウルじゃないかと主審を追いかけるロッベン。う〜ん。多分、ギリセーフかな?暴言でイエロー。
今日のジャッジは難しいよなあ・・・。それでも退場者を出さないようにコントロールしてる。
スペインはシャビアロンソとセスクを交替。得点を意識したボール回しを期待したい。
これだけボールの奪い合いが続く中、時間だけが過ぎていく。
90分戦って無得点。ただ、どちらにも得点のチャンスが無かったわけでも守りに入ったわけでもない。
試合は延長戦に突入した。
延長前半、イニエスタからセスクへ絶妙のスルーパス。しかしステケレンブルフがナイスセーブ。
そしてカウンターにロッベン。浮いたボールは足が合わずにラインを割った。
今度はセスクからイニエスタ。ビジャが左にいたが、GKはどちらもケアしている様子。仕方なく打つが、ダメ。
ちょっと判断が遅かったか。オランダはファンデルハールト投入。
スペインのチャンスは続く。オランダDFちょっとルーズになってきた。ヘスス・ナバスのシュートはサイドネット。
決まらない。どうにもゴールが決まらない。
延長前半が終わってしまった。
PKだけはやめてほしいなあ。
ここで、デルボスケがついに賭けに出た。ビジャに代えてトーレス投入。
後半前半、シャビのパスに抜け出すイニエスタ。エリアのわずか外。倒されて2枚目。ヘイティンガ退場。
ここは問答無用。FKは外れたが、残り10分、10対11で戦うことになった。
オランダのFK。壁に当たるがゴールキック。オランダ怒る。そらそうだ。
しかし、その直後のカウンター。ちょっと戻りオフサイドが怪しいが、セスクに通る。そしてフリーのイニエスタ!
決めたーーーーーー!地味な天才が世界一を引き寄せるゴール!!
シャツを脱いでイエロー。
怒るオランダ。しかし、イニエスタはオンサイド。副審に確認するが間違いなくゴール。
終了間際、トーレスが倒れる。ちょっとヤバイ感じ。
怒るオランダ。これは仕方ない気もするが、タイミングが世界一悪い。
そして・・・・・・・・・・・
試合終了!飛び出すスペインベンチ。涙のカシージャス。
そして・・・・やっぱり、怒るオランダ。
確かに納得はできないかもしれないけど、これまでのファウルを退場なしで見逃してくれてたからね。
スペインは赤のユニフォームに着替える。トーレスは大丈夫だろうか。
主審の表彰の時には、怒るオランダサポーター。ブーイングが響き渡る。まあ、難しい試合だったよ。
得点王は4人が横並びで終了。オランダも納得はしていないものの表彰を終える。
そしてスペインがメダルを受け取る。優勝候補の筆頭が優勝するって、逆に珍しいパターンかも知れない。
なんか、専用のお立ち台がある。すげえな。
そしてキャプテンのカシージャスがカップを掲げる。アンタ本当によくやったよ。美人レポーターに存分にコメント
してあげてくれ。イニエスタも本当によくやった。そして、デルボスケ。絶対に選手より目立たないが、戦力を
最高値に引き出す素晴らしい監督。レアルはあんな辞めさせ方をしてから勝てなくなった。
トーレスはうれしそうだけど、ちょっと複雑な表情。大丈夫、君はまだ若い。
大会を締めくくる花火。凄まじい量の花火だ。カメラに囲まれるスペイン代表。
静かに首を振るロッベン。涙を浮かべ、立ち去るスナイデル。
2010南アフリカW杯はスペインの優勝で幕を閉じた。
大会総括
約1ヶ月に及んだ世界最高のスポーツイベントが終了した。
結果は優勝候補の最右翼であったスペインが初優勝という栄冠を手に入れたが、大会そのものは、やや期待に裏切られることの多いものだった。
まずは、地元開催国である南アフリカのふがいない戦いぶり。そして、それはアフリカの国々全てに共通して言えることだった。とどのつまり「メンタルが弱い」という
ことに尽きるのである。もはや、これは生い立ちレベルからの問題であるような気がする。教育体系が改善されれば、彼らも精神的な逞しさを手に入れることが
できるだろうが、これは今後もアフリカ勢の弱点として残っていくことだろう。
そして、多くのフットボールファンを裏切ったのが、フランス、イタリア。付け加えるとすればイングランドもそうだろう。
フランスに至っては言い訳の余地すらない。余りにもスキャンダラスで、過去に例を見ないほど低俗な敗退であった。
原因は、間違いなくレイモン・ドメネク監督にあるのだが、それにしても選手が犯した罪は重い。まず、かれらは手を使ってまで敗退に追いやったアイルランドに
謝罪するべきだろう。ワールドカップに出場すべきではなかった。個々の能力は疑いようが無く、しかるべき指揮官であったなら決勝トーナメントは確実だった。
まず、ドメネクの問題点は、その精神レベルにある。好みのプレーをしない選手を選ばないのは監督の自由であるが、彼はもっとレベルの低い選抜を隠そうとも
しなかった。自分の彼女の元彼であった選手、噂になった選手から外していったのである。その上、EUROでグループリーグ敗退をした際の記者会見でプロポーズを
するという破天荒ぶり。彼の最後は、試合終了後に南アフリカのパレイラ監督が差し伸べた握手を拒否するというスポーツマンとして最低の行為で終わった。
パレイラには「なんて哀れな男なんだ。」と嘆かれている。
もしかすると、フランスの歴史上、最も嫌われた監督として名を残すかもしれない。そして、政治的な理由でドメネクを使い続けたフランスの協会も解体されるべきだと思う。
イタリアは、前回優勝国の栄光にすがりすぎた。唯一の光であったブッフォンをケガで欠いた瞬間に彼らのワールドカップは終わっていた。カンナバーロは相手に得点をアシスト、
ピルロは杖がないと歩けないのでないかと思うほどの老体ぶりで大会に臨んだ。現在のチームを全て壊すつもりでやりなおさなければ、今後10年は低迷を続けることになる。
デロッシを残し、全てのポジションを若手に切り替えるべきであろう。イタリアは人材の宝庫のはず。どうせ負けるのなら、未来に繋がる敗退をするべきだ。
彼らは1994年のフランス、2000年のドイツのような過渡期にいると思う。
そして、優勝候補と言われていたイングランド。申し訳ないが、彼らが優勝候補になるために、決定的に足りないパーツがあるのは明らかであった。GKと控えのDFライン。
GKはプレミアのチームが協力して若手を育てない限りは無理である。DFに関しては、テリーの不倫問題に端を発し、イングランドのメディアの報道態勢も問題がある。
テリーの一件で、テリーだけでなくブリッジという有能な選手を失った。Aコールも、これまた不倫騒動でパフォーマンスを落とす。そして、頼みの綱のRファーデナンドは持病の
腰痛を悪化させて最終ラインは崩壊した。ドイツ戦の判定は問題ではない。実力不足で負けたのである。
ルーニーに代役は無く、彼の不調をカバーできる選手がいなかったことも問題だが、これは回避しようのない問題であり、手の施しようはないかもしれない。
続いて触れておくべきはポルトガル。彼らはウルグアイのポジションにいられるはずだった。
Cロナウドが戦犯として叩かれているが、個人的には彼はよくやっていたように思う。問題は、チームとして出来上がっていなかったこと。監督が世界レベルであれば勝てたかも。
南米の2強についても触れておきたい。
アルゼンチンはメッシが機能していなかった、頼りすぎたという意見があるが、それは間違い。ゴールこそ無かったが、彼のプレーは輝いていた。ドイツに大敗したのは、
フォーメーションの徹底した約束がなされていなかったこと。こう言ってしまうと、マラドーナの責任であるように思う。ある意味でマラドーナの責任であり、そうではない。
彼がもたらす+αの作用はそれを凌駕する可能性があったのだ。もしも、その人生を母国のために捧げる覚悟があるのなら、クラブチームを率いて経験を積むべきである。
ブラジルが敗退したのは、正直おどろきであった。しかし、それも自滅であり、オランダがブラジルより強かったというわけではない。ブラジルには優勝する力があったし、
相応しい選手も揃っていた。しかしドゥンガは、最後の試合で効果的な手を打てなかった。そしてFメロの暴走で敗退した。あれだけ規律を重視したチームで暴走が起きて
敗退したのである。もしかすると、張り詰めた空気のドゥンガ政権で、足りなかったのは余裕だったのかもしれない。
ネガティブな面ばかり述べたが、今度はポジティブな側面を見ていきたい。
今大会、最も感動を与えたのは、ドイツではないだろうか。かつて、「老人ホーム」と揶揄されたドイツは、10年をかけて、見事に若手主体で再生した。
さらに代表となると、途端に実力以上のものを発揮する国民性も無くなっていなかった。個人的には、2年後のEUROが最も楽しみなチームである。
そして、ウルグアイ。今年はフォルランの年だったと言ってよいかもしれない。UEFAヨーロッパリーグでアトレティコをチャンピオンに導くゴールを決め、今大会MVPである
ゴールデンボール賞、通称キン○マ賞を手に入れたのである。期待の大物、ルイス・スアレスは期待以上のインパクトを残した。若手とベテランのハイブリットチームであった。
ファイナリストの2チームにも触れておきたい。
オランダは、非常に「強い集団」として生まれ変わった。CLで好調を維持した選手たちが主力だったし、代表としての誇りもあった。だが、代わりに「美しさ」を失ってしまった。
スペインが優勝したのは、その差だったと、誰もが疑わない。
結果を手にすることができれば、スペインのように生まれ変われるかもしれない。今は我慢してチームを熟成させるべきであろう。
結果論になってしまうが、スペインは、スイスに負けたのが良かった。
これでカシージャスが一度死んで、キリストのように聖人として復活した。それからのカシージャスは説明するまでもない。
チームの骨格をクラブチームで固めてしまったことも、敗退を引きずらずに済んだ要因でもある。このやり方がトレンド化してしまうと、各国のリーグ戦はどうなるのだろう・・・。
まあ、一番の功労者は、デル・ボスケであろう。かつて、個性のかたまりであった銀河系軍団を、自らが黒子に徹することで見事に機能させた名将。
選手の質が高ければ、高いほど、彼の手腕が発揮される。素材のうまみを全く殺すことなく料理にすることができるのだ。
レアルは彼を手放してからCLのベスト16を突破できずにいる。
レアルの選手が主体になっても、バルサの選手が主体になっても、デル・ボスケであれば大きな失敗はしないだろう。
最後に触れておくべきは、勿論、日本代表である。
本田を中心に据えてチームを作るという掛けは見事に成功した。
岡田監督は、その能力の無さゆえに、最後の最後に「メディアのいいなり」になることができたのである。続投は日本代表を腐らせるだけだ。
日本は、ベスト16の達成に酔っているが、日本の選手は本田、ヒデの言うとおりどんどんヨーロッパに出て行くべきである。
レベルの高い、低いではない。真剣さのレベルが違うのだ。シュートを一本外したら、サポーターから脅迫文が届くような緊張感。それが世界標準。
さて、問題の監督の後任人事だが、本来であれば国内リーグで結果を残した監督を代表として昇格(?)させるのが通常の常識。
そうなると、鹿島のオリベイラか名古屋のピクシーあたりになるのだが、シーズン真っ只中のJリーグのチームが許すかどうか・・・。
協会は、人選のポイントとして
@哲学がある A頑固でない Bマスコミと上手くやれる Cカリスマ性がある D五輪代表も兼ねる を条件にネームバリューに拘らないとしているが
Cのカリスマ性があると矛盾するので、結局有名な監督に納まるだろう。
当初、期待していたチリの英雄となったアルゼンチン人のビエルサは契約延長で日本は無し。意中の人、ベンゲルは今年もアーセナルが手放さない。
そうすると、ある程度、候補は絞られてしまう。
本当に上記の4項目を満たすフリーの人材がいるとすれば
スベン・ゴラン・エリクソン ただ一人となる。
問題なのは「やる気」である。ラツィオ時代の名将はイングランドの代表監督を経て、いつの間にか怪しい金の亡者になったと言ってもいい。
本気で日本代表の為に働いてくれるとは思えない。
しかし、日本サッカー協会は、現在上記4項目を満たすとは思えない人選に着手している。
アルゼンチンのペケルマン、元マジョルカ監督マンサーノ、フランスを優勝に導いたエメ・ジャケ。彼らほどの人材を日本協会がコントロールできるとは思えない。
ブラジルを解任されたドゥンガもしかりだ。最も扱いにくい監督の一人だろう。
唯一、自らが「やりたい」と言っているギド・ブッフバルトだが、浦和時代に解任の憂き目にあっており、選手との衝突もあったことからプラスにはなるまい。
ライカールトの名前とかも出てきそうだが、彼の実績は強チームを率いた経験のみである。
個人的には、フリーならばハビエル・イルレタ、ペジェグリーニ、トップメラー
現役でも良いならベンゲルは言わずもがな、ハリーレドナップあたりが日本代表レベルの戦力を一番上手く操れるのではないだろうか。
日本は今回、全敗の危険性もある中、見事にベスト16へ進むことが出来た。日本の利点は、選手がチームより代表を優先できるということ。
だが、それが足枷でもある。それだけのチームに所属していないということだ。
坂本龍馬のブームが来ていることもあり「日本男児よ。海外を見よ!」というに尽きるということだ。
それでは項目別に、大会の個人的総括を
★大会MVP
トーマス・ミュラー
公式では大会最優秀ヤングプレーヤーに選出されたが、個人的にはMVPでもいいと思う。準決勝にミュラーがいれば。と誰もが思った期待の20歳。
★大会ベストチーム
ブラジル
ドイツかウルグアイと言うのが一般の見方だろうが、個人的にはブラジル。オランダ戦のFメロの退場劇さえなければ、優勝していたはず。
★大会ベストゲーム
ウルグアイvsドイツ
DFが雑。という意見もあるが、お互いが負けよりも勝ちを意識した好ゲーム。完璧な試合を見せたのはチリvsブラジル戦のブラジルの方かな。
★大会ベストゴール
シモン byポルトガルvs北朝鮮
単純にシュートだけをゴールとするならば、Vブロンクホルストや本田、Lファビアーノ、スアレス、フォルランが挙げられるが、肝心なのはそこに至るまでのプロセス。
糸を引くようなクロスから、バックへの折り返し、そして股抜きでのフィニッシュ。組み立てからして実に美しかった。
★大会ベスト監督
デル・ボスケ
監督の最大の功績=結果を出すこと。つまり優勝監督が最も優秀。ここは特に言うべきことはない。
★大会ベストイレブン
GK カシージャス
(次点ムスレラ)
トーナメント後半の活躍は神がかり的。序盤の失策を帳消しにしてあまりある功績。キャプテンの重責を果たしたことも素晴らしい。
DF 長友、ラーム、ピケ、マイコン(次点プジョール)
長友は実力で上回る相手を抑えきった、今大会最大の発見。マイコンはRカルロスの後継者になりえる。ラーム、ピケは攻守両面での貢献。
MF シュバインシュタイガー、シャビ、スナイデル、エジル(次点ロビーニョ)
シュバイニー、エジルはドイツをテクニカルなチームに変貌させた。シャビは実力どおり。スナイデルはCLの好調そのままに大会を彩った。
FW ミュラー、フォルラン(次点ロッベン)
ミュラーはドイツの未来を象徴させる星。フォルランはウルグアイをベスト4に導いた英雄である。ロッベンは珍しくケガが直った。決勝のチャンスをフイにしたのが惜しい。
ワールドカップとチャンピオンズリーグ。
はっきり言ってしまえば、チームの完成度やプレーは、ナショナルチームはクラブチームには及ばない。
アルゼンチンのように最後はチームになりきれずに敗退してしまうケースも、決して少なくなかった。試合のクオリティも、全てが高いとは言いがたい。
しかし、チリやアメリカのように国家としての戦いぶりがプレーのクオリティ以上の感動を与えてくれる。
ワールドカップを見て、チャンピオンズリーグを見れば、よりフットボールが好きになる。
この先、しばらくの間もフットボールが世界一の人気スポーツであり続けるのは間違いないだろう。
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