【マッチレポート】
スタメンはサプライズは特になし。イタリアは、負傷者が多いが、なんとかベストメンバーを組んできた。
スペインはセスクのゼロトップを採用。なんだかんだで、消去法で一番効果的だった陣形だ。
開始序盤こそ、イタリアが攻め込む形を見せたが、結局はスペインがキープする状態で落ち着いた。
イタリアは最終ラインのクリアが不安定。そして、14分。早くも均衡が破れる。セスクがエンドライン際までドリブルで上がり
クロスを入れる。そのボールはシルバの頭に届き、スペインが先制ゴールを上げた。
このゴールを見た瞬間に、多くの人間が、やっぱりドイツが勝っていたら面白い試合になったのに・・・と思ったかも知れない。
しかし、ドイツにはその権利すらないのだ。やはり、敗者は何を言われても惨めなだけである。
キエッリーニが負傷でバルザレッティが交代。ケガを押していただけに残念。彼がいなくなる最終ラインは不安だ。
イタリアはCKを含め、バロテッリのバネと高さを生かそうという試みに見える。多くないチャンスでも、高めのボールが、それを
うかがわせる。スペインのポゼッションがイマイチはまらなくなってきて、イタリアもミドルを放つようになる。
ここで点が取れれば、一気に試合は分からなくなる。しかし、結果はそうはならなかった。
カウンター気味のボールに駆け上がるジョルディ・アルバ。そのまま駆け抜けて、追加点をゲット。前半終了間際で2-0。
前半が終了して、ちょっと驚くデータが。
なんとポゼッションはイタリアの方がわずかに上。そうか〜。
後半5分、バロテッリがサイドに逃げて、中央はカッサーノに代わったディナターレが担当。これでマークが散ってイタリアの
攻撃がスムーズに。シュートがあわや、というところでカシージャスに止められる。
ここでイタリアはモントリーボに変えてモッタを投入。うーーむ。
で、この疑問の交代が悪い結果を生むことに。Sラモスのタックルを受けたモッタが、早々と負傷。すでに3枚の交代を使い
担架で外に出されたモッタを代えられないイタリア。10人で試合を進める。
どうやら無理やりベストメンバーを揃えたことが仇になったアッズーリ。
こうなってしまうと、なんだか試合の緊張感が薄れる。
「結局、このままスコアは変わらずに終了だろ」という雰囲気だ。
バロテッリが下がり目でボールを受ける位置にいるが、そうなるとディナターレへのロングパスがバレバレ。
攻撃の組み立てが上手くいかない。
後半30分、スペインはセスクに代えて、トーレスを投入。2点差で一人有利な状況ならワントップでも構わない。
むしろ攻撃を活性化させておこうということか。
結果、この試みは成功に終わる。
攻撃の意識が明確に蘇ったスペインは、単純な縦のスルーパスを狙う。
39分にダメ押しの3点目をトーレスに奪われ、イタリアは戦意喪失言ってもいい。これで決まり。どうにもならない。
イニエスタとマタを交代で代えて、スペインのミッションは終了。
優勝の瞬間を待つだけに思われたが、最後におまけがついてきた。
ゴール前でフリーのトーレスに渡り、走りこんだマタに折り返す。
落ちついてゴールに流し込んだマタが4点目を決めて、バロテッリはしゃがみ込む。
EUROの決勝としては、危惧された通りの結果となったとしまった。
スコアを見れば刺激的な試合だが、内容はさほど刺激的でもない。
ここ十数年、EUROの決勝はドキドキものだった。それが、なんとも味気ない戦いだ。
ケガでメンバーから外れたプジョルとビジャはスタジアムの脇でツィッターで優勝報告を始める。
駆け込む準備を始めたスペインイレブン。
笛が鳴らされ、史上初のEURO連覇が決まる。
遮るスポークスマンを突き飛ばしながらスタジアムを立ち去るバロテッリ。2位のセレモニーは拒否か。
思えば、決勝にたどり着いた時点でイタリアに余力は残されていなかった。
できればドイツとスペインの戦いを見てみたかったが、それは言うまい。
内容だけで結果が手に入らなかったスペインは、4年前の優勝で、内容がまずくても結果が手に入る国となった。
スペインは否定される言われはないだろう。参加した中で最も強かったのは間違いない。
問題があるとすれば、他の国だ。なんとしてでもこれ以上の栄冠をスペインに与えてはいけない。
セレモニーを前にバロテッリが戻ってきた。
敗北を認めてこそ強くなれる。これから10年以上イタリアの前線を担える逸材だ。
大敗したとはいえ、誰もここまで来たイタリアを蔑むものはいない。期待以上の成績だ。
メジャー3連覇を果たしたスペイン。今現在、最強の国だ。
ヨーロッパでここまで強さを見せ付けられると、倒せるとすればブラジルかアルゼンチンくらいだろう。
アンリドロネー杯がカシージャスの手に渡され、王者の雄たけびを上げる。
涙を流すバロテッリ。責任を感じ、プランデッリに慰められるモッタ。これからのイタリアを変えるは君たちだ。
4年後、スペインはまだ最強の座にいることができるのだろうか。
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